会社が与えてくれるものと
会社に与えなくてはいけないもの

 さて次に、会社での成長を考える際に見落としがちなのは、「あなたが社員として会社に与えなければならないもの」のことです。会社はいろいろなものを社員に与えてくれます。給与、寮、休暇などの福利厚生、社会保険、人脈……実にたくさんあります。

 しかし当然ながら、その対価として、社員も会社に対して与えなければならないものがあります。大雑把に言えば、それは「仕事で会社に貢献する」ということですが、入社後に会社から求められるものの具体的な内容を把握せず、その会社に所属することしか考えずに就活している人が多いのも事実です。

 就活の会社説明会やOB・OG訪問では、入社後、会社に対してあなたは何を与えなければならないかをぜひきちんと確認しておきましょう。というのは、会社によって「成果さえ出せばいい」というところと、成果に加えて資格取得を課すところがあるからです。

 たとえば、海外駐在のある会社なら「TOIECでハイスコアをクリアしろ」と言われるかもしれません。不動産業界なら宅建の資格を、銀行なら外務員資格を、そして金融機関によっては証券アナリストの資格取得を求められたりすることもあるでしょう。システムエンジニアも「基本情報技術者試験(FE)」、「応用情報技術者試験(AP)」、「システムアーキテクト試験(SA)」というように、業務に必要な資格を順次取得していくことを求められるところがあります。

 入社後、「この勉強をしなさい」と売り上げ以外のことを求められることが負担になる人もいれば、「それこそが成長」と感じる人もいるでしょう。給与や福利厚生といった会社が与えてくれるものには誰でも目が行くものですが、「自分が会社に対して何を提供しなければいけないのか」を把握し、そこを整理したうえで、会社での成長機会について判断するべきです。

 会社に自分が与えなければならないものについて整理できていない人は、会社説明会やOB・OG訪問で、よく「ノルマはありますか」と質問します。会社がノルマを課すのはあたかも悪いことのように思われがちですが、会社が「あなたが働くにあたって、これだけの成果を求めています」と言うのは、ごく当たり前のことです。