会社には必ず経営計画があり、それを社員一人ひとりにまでブレイクダウンした、社員が達成すべき目標があります。それはたとえば、売り上げ、納期、新規顧客開拓何件といった数値目標の場合もあるでしょう。言ってしまえばそれは「ノルマ」ですが、その目標を達成するのがつまりは仕事をするということです。

 与えられた目標に対して、自分はどの程度の労力をかけなければならないか。言い換えれば、それが成長と関わってきます。

時間と自由をとるか
給与をもらえる成長機会をとるか

 最近の学生たちの中には、「ゆるい企業に入ると成長できない」という考え方が広がっているようです。ワーク・ライフ・バランスという観点では、多少懸念があっても、それが自分のキャリア形成にとって有効だと思えば、あえて厳しい企業を選ぶ例もあるようです。

 私が見るところ、今の学生は昔と比べて、就職に対して非常にニュートラルな感覚を持っています。今いる会社に一生居続けようと思っている人は少なく、転職に対するハードルも下がっています。大手企業の中でもそのあたりをよく心得ていて、「割り切って」というと語弊がありますが、学生に対して堂々と、「うちは1社目として入るにはいい会社ですよ」という打ち出し方をしているところもあるくらいです。就職は人生でただ一度の選択の機会ではなく、今後のキャリアを長期的に考える中で、「1社目は一番つぶしが効くからこの会社」といった選び方も増えてきているのです。

 新卒の就活期間だけで一生の職業を決めるのは難しく、1社目で自分にぴったり合った会社に行くことができるとも限りません。決して1社目で希望の会社に行くことを諦めるというニュアンスではなくて、「何かあったら1社目をやめて次へのステップを求めて転職すればいい」「今はここにいるけれど、だんだん成長して別のところへ行こう」というのも、徐々に一般的な考え方になりつつあります。