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「一票の格差訴訟」で真に問われるべき国民の責任
司法が突きつけた厳しい“最後通告”が意味するもの

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第270回】 2013年4月2日
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“一票の格差”訴訟で厳しい判決が続々
司法はなぜ「最後通告」を行なったか?

 昨年12月の衆院選挙での“一票の格差”に関する訴訟の判決が出そろった。今回のわが国の司法当局の判断は、昨年の選挙では、憲法に保障された投票権の平等が著しく損なわれたと認定し「違憲」と指弾した。中には、選挙結果自体が無効という厳しい判断が出されたケースもある。

 選挙における“一票の格差”については、以前から問題視されていた。それにもかかわらず、わが国の政治は、選挙制度の本格的な改正に着手しなかった。いわば、司法当局の警告を無視してきたと言える。今回の判決を見ると、そうした政治の姿勢に対する司法の最後通告の意味が強いだろう。

 一票の格差についてはわが国だけではなく、欧州諸国や米国など世界の多くの国で問題視されてきた歴史がある。各国とも格差拡大の都度、ケース・バイ・ケースで様々な是正策が試みられている。

 基本的には格差の是正のため、定期的に人口の増減などによって選挙区の議席数を調整するなどの対応策がとられている。

 ただ、特定の議席数を限定された地域に割り振るような小選挙区制を実施している限り、厳密に投票の平等性を維持することは不可能だ。問題は、その国の政治が選挙の仕組みをいかに公平に、しかも状況に合わせて適正に変える努力を払っているかだ。

 そうした観点からすると、わが国の政治に及第点をつけることはできない。今まで、何度も“一票の格差”について、司法を含め様々な分野から警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、それを無視してきた。

 その背景には、選挙制度を自分たちの政党に有利にしたいという、政治家諸氏の身勝手な思惑があることは否めない。政治の怠慢と糾弾されるべきだ。

 私のような政治の門外漢にとっては、最近、政治の重要性が増す一方であるのに、その機能は低下しているように感じられる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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