「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。

【税理士が教える】不動産投資で節税するときの注意点Photo: Adobe Stock

利益を繰り延べて、「ベストなタイミング」で税金を払う

 節税対策として中古不動産投資に手を出している社長さんは多くいます。

「いずれは結局、売買益や運用益が出て、税金を納めなければいけないのだから、節税にならないのでは?」と考える人もいるでしょう。

 実はその通りで、中古不動産投資は、厳密にいうと「節税」ではありません。

 法人税対策には、大きく分けて2種類あります。「税額そのものを減少させるもの」と中古不動産投資のような「課税のタイミングを繰り延べるもの」です。

「課税のタイミングを繰り延べる」とは、法人で利益が出た場合に、本来はその事業年度に支払うべき税金を、翌年度以降に先送りすることです。「利益の繰り延べ」と言い換えることもできます。

 ここで再び、「いずれは結局、売買益や運用益が出て、税金を納めなければいけないのだから、節税にならないのでは?」という冒頭の疑問に立ち返ります。

 確かに、利益を繰り延べただけでは節税になりません。利益を繰り延べて手元に残るキャッシュを最大化し、適切なタイミングで不動産を売却し、売却益と繰り延べた利益とを相殺することで、初めて節税効果が生まれるのです。

 中古不動産投資そのものに節税効果があるわけではなく、税額そのものを減少させるようなほかの節税対策と組み合わせて考える必要があるということです。

 ではここから、不動産投資の基本的な仕組みを解説します。