写真:聴診器と1万円札と電卓Photo:PIXTA

今年も確定申告シーズンが来た。今回はその中でも人気テーマである「医療費控除」について解説する。知らなかったがために大損しがちな、絶対知っておきたい重要ルールが五つあるのだ。その中には、当コラムで何度も指摘してきた「国税庁の“罠”」に関するものもある。悪気はないと思うが、国税庁の「不親切」が原因で大損するリスクがあるのでご注意いただきたい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

医療費控除で損をしないための
「重要ルール」を知る

 2月16日から確定申告の受け付けがスタートする。毎年この時期が近づくと、多くのメディアが確定申告をテーマとした記事を掲載するが、中でもよく読まれるのが「医療費控除」の解説記事だと聞く。

 申告自体はそれほど難くないけれど、やり方を間違えると大きく損をしてしまう「落とし穴」が潜んでいることをぜひ知っていただきたい。今回は「損しない医療費控除の申告テクニック」を紹介しよう。

 まず、基本の知識から。医療費控除とは、1月から12月までの1年間に支払った医療費が10万円を超えたときに受けられる所得控除のことだ。足切り額の10万円を超えた部分が所得控除の対象となる(上限200万円)。同じ生計の家族の医療費を合算することも可能だ。

 また、医療費の負担が10万円以下であっても、所得金額が200万円未満の場合は、所得の5%を超えた医療費を所得から控除できることも知っておこう。

 例えば給与収入200万円の場合、所得金額は122万円。その5%である6万1000円が足切り額となるので、6万1000円を超える部分が控除対象となる。医療費の合計額が10万円に満たなかったときは、所得金額200万円未満の人が医療費控除を受けられることを覚えておきたい。

 では、本題の「絶対知っておきたい医療控除の重要ルール」を五つ紹介しよう。

(1)「補てんされる金額」は「支払った医療費が上限」となる
(2)国税庁「確定申告コーナー」の医療費集計フォームのエクセルに潜む「罠」にはまらないように気を付ける
(3)医療費控除は「罠のない申告方法」でする
(4)がん診断給付金、出産手当金は「補てんされる金額」に含めなくていい
(5)公的介護保険の自己負担額も医療控除の対象となる

 この五つはどれも重要だが、特に重要なのが(1)の「補てんされる金額」は「支払った医療費が上限」だ。多くの人がご存じないか、勘違いしている。この重要ルールを間違えると、節税効果は大きく減り、大損することになる。

 そして、これを知らないと(2)の「国税庁のエクセルの罠」にはまってしまう可能性が高い。分かりやすくするために(1)から(3)をまとめて事例で解説しよう。