生成AIの活用は広がっていくか!?
自己内省を深めるツールとしての可能性

 24年卒以降の新たなトピックとして注目されているのは、就職活動における生成AIの活用です。
『就職白書2024』の24年卒学生への調査では、ChatGPTなどの生成AIを就職活動に使用した割合は14.5%でした。ChatGPTの登場は22年11月。24年卒の学生からすると、すでに夏のインターンシップなどへの参加を終えている段階であり、使用率がそこまで高まらなかったのは時期の問題も大きいでしょう。

 生成AIを利用した就職活動プロセスを詳しく見ていくと、「自己PRの作成」が48.2%、「エントリーシートなどの添削」が44.6%、「エントリーシートなどの作成」が41.7%と、書類選考に関連する項目が高いことがわかります。

 生成AI を活用した学生に、生成AIの使用に関する状況や考えを聞いたところ、「生成AIから得た回答をそのままエントリーシート等に使用した」に「当てはまる・どちらかというと当てはまる」と回答した学生は31.1%に留まりました。一方で、「生成AIから得た回答を吟味して修正した上でエントリーシート等に使用した」について「当てはまる・どちらかというと当てはまる」は73.8%に。生成AI を活用した学生のうち、7割以上が、生成AIの回答を“参考に”就職活動を進めることに、肯定的な考えを持っていることがわかりました。

「生成AIを使用して、エントリーシート等の内容を本来の自分以上に良く見せても良いと思う」との考えについても、「当てはまる・どちらかというと当てはまる」は51.6%と過半数を超えています。

 ただ、「就職活動で生成AIを使用することには不安を感じる」について、「当てはまる・どちらかというと当てはまる」は42.7%、「当てはまらない・どちらかというと当てはまらない」は36.5%と拮抗しており、不安に感じる学生が4割以上を占める状況も見えています。

 25年卒において、生成AIの活用はより身近に、一つのツールとして広がっていくことが予想されます。最新ツールを活用することで、自分一人では気づけない視点が広がり、自己理解がより深まる可能性もあるでしょう。しかし、生成AIはあくまでも一つのツール。実際の面接では、自分の言葉で自分自身の考えを伝える必要があります。生成AIを活用することで、考えを整理しアウトプットしやすくなるように、テクノロジーとうまく共存していくリテラシーがますます求められるでしょう。

(リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥)