なぜ「保険で貯金」のやりすぎは良くないのか

 さらに問題なのは、すぐに使える預貯金が100万円ほどしかないことです。保険などを使ってつくった3500万円ほどの資産があるのに、使えるお金が100万円というのは不均衡です。老後に備えすぎて、今の生活が圧迫されています。収入だけでやりくりができず、独身時代の預貯金から赤字補填しているのは本末転倒であり、将来に備える意味とやり方を見直す必要があります。

 将来に備え、さまざまな方法を試すことは良いことですし、保険も貯蓄手段の一つとして活用できます。ただし、保険に偏りすぎるのは好ましくありません。満期前に解約すると損をしがちで、必要時に引き出しにくい流動性の低いお金となるからです。契約者貸付があるタイプもありますが、利息がかかります。また、iDeCoは60歳にならないと引き出せないため、いざというときに頼りになるお金にはなりません。

 現状を改善するには、貯蓄型保険の掛け金を減らしたり、iDeCoの掛け金を減らして家計に必要な金額を確保し、残りを貯金したりといったことが求められます。貯金ができたら、NISAなどで効率よく教育費も含めた老後資金を積み立てることもできます。

 しかし、保険に加入するときに言われた「満期には〇〇万円になるから」という言葉に後ろ髪をひかれ、手放すのは惜しい。iDeCoも「このままいけば〇〇万円になる予定」と思うと、(不確実な)期待をあきらめられないようです。

将来も大事だが、「今」も大事に!

 将来に向けた資産形成は大切ですが、だからといって「今」を犠牲にしてはいけません。人生は一度きり。今できること、やりたいことも大切にしながら将来に備えることが、充実した人生につながります。自分だけでなく、家族を大切にすることも同様です。

 途中で引き出せないような保険や制度の利用が過剰になっていないでしょうか。改めてご自分の資産形成の方法を見直してみてください。現在と将来のバランスを取った貯蓄方法を選択していきましょう。