サウジやイランが新加盟の「拡大BRICS」、中国・ロシア・インドの同床異夢イランのテヘランで開催されたBRICS臨時合同会議で発言するイランのエブラヒム・ライシ大統領(2023年11月) Photo:Anadolu/gettyimages

2024年1月から10カ国体制に
イラン、サウジなど5カ国が新加盟

 中国、ロシア、インドなど非西欧の新興経済大国によって結成されたBRICSに、2024年1月から新たにエジプト、エチオピア、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)の5カ国が加盟、10カ国に拡大した。ほかにも40カ国が加盟を表明しているという。

 米国一極支配とG7(先進7カ国)の役割が減衰する世界秩序の新しい枠組みとして、「拡大BRICS」の役割と存在感が一段と増すことになりそうだ。

 実際、ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁では、BRICSを中心としたグローバルサウス諸国はほとんど参加せず欧米の危機感を高め、対応を急がせた。イスラエルのガザ侵攻に対しても、ガザ地区住民の人道危機問題を訴え、欧米のイスラエル支援や兵器提供に対して、ロシアのウクライナ侵攻では法の支配や法に基づく国際秩序を唱えたダブルスタンダード(二重基準)を批判するなど、外交姿勢は欧米に距離を置いたものだ。

 BRICS拡大は、欧米主導で進んできた世界秩序が崩れ始め多極化する実相が浮かび上がる。

 だが、新たなグローバルガバナンスの枠組みとしてどこまで機能するかは未知数だ。

中心を担う中国、ロシア、インドの3国の思惑はそれぞれ異なり、また新加盟のサウジアラビアとイランも中東地域の長年のライバル国同士だ。

 拡大BRICSが何を目指すのか、世界の不安定が増す恐れもある。