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将来に禍根を残す日米の銀行損失処理

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第64回】 2009年1月21日
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 先週末は、銀行の損失処理を巡るニュースが相次いだ。米国では、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)への政府追加支援のほか、シティグループの分割案、また話の規模は小さいが日本でも札幌北洋ホールディングスの公的資金申請が相次いで報じられた。だが、銀行の何を保護するのかという問題は、もっと丁寧に整理しないと、日米共に将来に禍根を残すことになりかねないだろう。

 まずバンカメから見よう。マネーセンターバンクの経営不安はシティグループだけでは済まないだろうと筆者も思ったが、その通りだった。周知のとおり、バンカメは、メリルリンチを救済合併したが、1月17日付の朝日新聞の記事によれば、メリルの抱えているバッドアセットの損失が想定以上に膨れ上がり、ここを切り離して、政府が保証する形で何とかしようということになったようだ。具体的には、公的資金200億ドルを追加注入して資本を増強し、同社の不良資産から将来発生する損失のうち最大972億ドルを米財務省が肩代わりするという。 
 
 マネーセンターバンクの一つでもあるバンカメが潰せないのは分かる。しかし、それなら、昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻の理屈から言えば、合併を止めさせて、メリルだけを処理すれば良い。そうならないのは、現在のアメリカ経済に、そのような衝撃に耐えうる“強さ”がもはやないということだろう。いずれにせよ、メリルは、バッドアセットを抱えたまま、銀行の中に逃げ込んで、これを切り離して政府に保証させる、つまり爆弾をそのまま政府に押しつけることにまんまと成功した。バンカメのメリル救済合併と二度の公的支援は本当に妥当だったのか。後世になって振り返ると、アメリカ政府はつまらないものに引っかかったということになるのではないか。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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