トヨタと小林製薬「慶應大卒・直系御曹司」に共通点?自社メディアの“あきれた厚顔ぶり”とは写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

「紅麹」サプリメントを巡る健康被害の拡大により、会社発足以来の危機に直面している小林製薬。被害の全容は依然として明らかでないものの、問題の基本的な構図は、紅麹とコレステロールの間の少々怪しげな因果性を同社がもっともらしく説き、それに対して消費者庁が責任を負わないお墨付きを実質的に与え、消費者も、発酵由来という耳あたりの良さを根拠に一斉に飛び付いたあたりにある。その結果、現時点での推測では、プベルル酸という予期せぬジョーカーが、不運にも高齢者たちを中心に悪さをしてしまった。

 本来ならば、それらの中心部分に置かねばならない「安全」で「効果がある」というエッセンスの証明と確認作業から、皆が巧妙に逃げると同時に、それぞれが勝手に「大丈夫だろう」と宗教的な観測を積み重ねた。起こるべくして起こった事件と言えよう。

 さすがに政府は、ザル同然で放置してきた機能性表示食品制度の見直しの検討に入ったようだが、それとて、人命が失われないとリスクの存在を「公認」しない日本社会特有の傲慢と怠惰を、「働き方改革」や「ダイバーシティ」の議論の過程でさんざん見せ付けられてきただけに、驚きは少ない。むしろ、役立たずと力不足の面々が揃いも揃って各々の役儀と約束をきちんと果たさないまま、一流ぶって大きな顔をするという人的劣化が、政界にとどまらず、経済界にも深く蔓延してしまっていることのほうが深刻であると考える。