口座が国に管理されて
財産を没収される?

 さらに踏み込んだものとしては、「口座が国に管理されたら、緊急事態条項発動で財産没収もあり得る」といった憶測もある。

 この「拒否しないと勝手にひも付けされる」というデマは、5月下旬に施行される予定の「改正ナンバー法」との混同があったのではないか、という話も出ている。これは年金の受取口座をマイナンバーと紐づけるもので、政府からの事前通知に「不同意」の回答が1カ月程度なければ「同意」として扱う(ひも付けを行う)。なお一度「不同意」で登録されてもその後の変更はいつでも可能となっている。

 「年金受取口座とマイナンバーのひも付けは利用者にメリットしかないから、無回答など『不同意』以外はどんどん登録しておきます」という政府の措置が裏目に出て不信感を呼んでいる格好で、ついには口座管理法と混同されてデマまで生まれた。

 政府は「口座管理法と改正マイナンバー法は別物」「マイナンバーと口座をひも付けても、国が取引履歴や口座の中身を覗いたりするものではない」と説明をしているが、そもそも事前の説明不足やマイナンバーへの積もり積もった不信感があったから、デマがあそこまで派手に流布する隙があったのではないか――という識者の指摘もある。

 社会心理学等を専門にしている増井啓太教授は2022年の記事の中で、拡散されやすいデマ投稿の特徴は「ネガティブで不安を煽る内容」のものであると紹介している。

【参考】
OTEMON VIEW フェイクニュース、デマツイート。止まらない拡散。その正体に迫る。(2022年5月26日)
https://newsmedia.otemon.ac.jp/2353/