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岸博幸のクリエイティブ国富論

「解雇規制緩和」を巡る誤解

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第224回】 2013年4月12日
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 政府の産業競争力会議で“解雇規制の緩和”が議論されて以来、この問題についてすごく間違った認識や偏った批判が横行しています。大新聞が“金銭解雇を容認”と報道したり、民主党の国会議員が国会審議で“金銭解雇を認めるのはけしからん”と叫んだりと、すごい事態になっています。

解雇に関する現実

 しかし、産業競争力会議のHPで公開されている配布資料や議事録を読めば、金銭解雇を広く認めるべきといった提言や議論は何も行なわれていないことは明らかなはずです。

 最初にこれまでの経緯を簡単に整理しておきましょう。

 労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。そして、裁判の判例により「合理的かつ論理的な理由が存在しなければ解雇できない」という解雇権濫用の法理が確立され、①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③対象者の人選の合理性、④手続きの妥当性、といった点から判断されることになりました。

 ところが、こうしたルールのままでは、解雇権濫用法理の内容が司法判断に委ねられ、裁判となった場合には最終的に金銭解決できない(裁判で解雇無効となると現職復帰しか道がない)ので、企業の側からすれば予測可能性を欠くことになります。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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