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ピカソの秘密
【第19回】 2013年4月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

お金が最強のコミュニケーション・ツールなのは
最も抽象的で匿名性が高いから。絶対に消滅しない
ゲスト:岩井克人・東京大学名誉教授【後編】

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お金の登場によって社会はどのように変化してきたのか?そして、お金自体の存在意義や役割は時代とともにどう変化していくのか?東京大学経済学部名誉教授・岩井克人さんと、『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』の著者・山口揚平さんの対談は、いよいよ「お金とは?」というテーマの核心に迫る。

お金がなくても成り立った、かつての「贈与社会」

山口 お金を使うという行為が純粋な投機であるとは、かねてから先生が貨幣論において展開されてきた説ですね。

岩井克人(いわい・かつひと)1947年生まれ。東京大学経済学部卒業、マサチュセッツ工科大学Ph.D.イェール大学助教授、コウルズ経済研究所上級研究員、プリンストン大学客員准教授、ペンシルバニア大学客員教授、東京大学経済学部教授等を経て、現在、国際基督教大学客員教授、武蔵野大学客員教授、東京財団上席研究員、東京大学名誉教授。著書に、Disequilibrium Dynamics(日経図書文化賞特賞)、『ヴェニスの商人の資本論』、『貨幣論』(サントリー学芸賞)、『二十一世紀の資本主義論』、『資本主義を語る』、『会社はこれからどうなるのか』(小林秀雄賞)、『資本主義から市民主義へ』ほか多数。(写真・住友一俊)

岩井 そうです。純粋な投機だからこそ、インフレが進んで将来的にその価値が下がっていくと予想すると、誰も受け取らなくなります。すると、いっそう価値の低下に拍車がかかるという悪循環が生じ、ハイパーインフレへと至ってしまいます。お金は純粋な投機ゆえに、こうした危うさを秘めているわけです。

山口 一般的にはあまり目が向けられていませんが、日頃から私は世界の実体経済の何倍に相当するマネーが供給されているのかを注視しています。実は、リーマンショック前には、通常の8~10倍もの規模になっていました。そこまで達するとバーストして金融収縮が発生するわけですが、お金は交換価値が高いだけにしばらくすると再び増えていって、やがては実体経済を大幅に上回る規模まで膨らみ、またもやバーストしてしまう。その繰り返しになっていると感じるんですよね。

岩井 お金そのものと金融とは違うものだと私は思います。先程、株式のみならず商品先物取引や金融派生商品にしても、最終的には実需に結びついているという話をしたとおり、金融の場合は、必ずどこかで実体経済とつながっています。そして、あまりにも投機マネーが膨らんで実体経済とかけ離れた状況になってくると、バブルが弾けて実体経済に収れんしていきます。ところが、お金の場合は、実体経済のどこともつながっていないんですね。ですから、お金に関しては、自由放任主義は不可能で、中央銀行によるコントロールが必要になるのです。

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山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

早稲田大学政治経済学部卒。1999年より大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業した。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供、2010年に同事業を売却後、12年に買い戻した。現在は、コンサルティングなど複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演を行う。専門は貨幣論・情報化社会論。著書に『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)』『企業分析力養成講座(日本実業出版社)』『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか(アスキー・メディアワークス)』。
ブルーマーリンパートナーズ 公式サイト http://www.bluemarl.in/
Twitterアカウント http://twitter.com/yamaguchiyohei

 


ピカソの秘密

将来の「正解」が見通せない今、誰もが、ぼんやりとした不安を抱えています。その大きな原因は「変化が重なり、先が読めないこと」。なかでも、グローバル化やIT化によって最も変化したもののひとつが、金融、「お金」のあり方です。本連載では、「お金」の変化を整理し、これからの世の中で幸せをつかみ、経済的に生き抜いていくための考え方や行動様式について、先達?ピカソにも倣いながら紹介していきます。

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