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だれが「スポーツ」を殺すのか ~暴走するスポーツバブルの裏側~

「バラエティーショー」と化したスポーツ報道

谷口源太郎 [スポーツジャーナリスト]
【第3回】 2008年7月28日
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 NHKは政府の番組への介入、職員のインサイダー取引、民放は番組の捏造など次々と重大な問題を引き起こし、今やテレビに対する信頼感は地に堕ちたといえる。

 なぜ、そうした問題が多発するのだろうか。その原因を突き止める意味からも「放送事業とは何か」を根本から見直す必要がある。

 メディア総合研究所主催のシンポジュウム「放送の自由は誰のものか」(07年7月14日)の講演で元立命館大学教授・松田浩氏は、放送事業について次のように話した。

 「放送事業というのは、もともと権力の監視や文化・ジャーナリズムという公共的使命をもった事業活動を、利潤追求を基本原理とする資本主義企業が担っている点で、矛盾のうえに成り立っている事業です。文化・ジャーナリズムの論理と資本の論理の緊張感に支えられ、文化・ジャーナリズムの論理(公共性の論理)によって資本の論理を抑制し、コントロールしているのが放送事業なのです。

 ですから、政府の介入・弾圧によって公共性の論理が後退すれば、当然、資本の論理が前面に出てくる。経営者にとっては、その方が無難だし、都合がいい。70年以降、顕著になってきた娯楽路線への傾斜と視聴率至上主義は、まさに形を変えた『資本の論理』なのです」

娯楽路線の徹底化で
「演出」されるスポーツ中継

 テレビで多くの時間を占めるニュースワイド、バラエティー番組のほとんどにお笑いや歌手グループのタレントが起用され、大衆に迎合した娯楽路線が徹底化されている。その背景にあるのは、利潤追求の資本の論理に基づいた視聴率至上主義に他ならない。

 娯楽路線の徹底化によって公共的使命を背負うジャーナルズムは、喪失状態といえる。スポーツ報道も例外ではなく、ジャーナリズムは放棄され、お笑いや歌手タレントなどを起用したバラエティーショー化による“娯楽番組”に作り上げられている。

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谷口源太郎 [スポーツジャーナリスト]

1938年鳥取市生まれ。講談社、文芸春秋の週刊誌記者を経て、フリーランスのスポーツジャーナリスト。スポーツを社会的視点からとらえた批評をてがける。市民の立場からメディアを研究する「メディア総合研究所」会員。フェリス女学院大学非常勤講師。著書「スポーツを殺すもの」(花伝社)、「巨人帝国崩壊」(花伝社)、「日の丸とオリンピック」(文芸春秋)など。


だれが「スポーツ」を殺すのか ~暴走するスポーツバブルの裏側~

底の浅いスポーツ報道に高騰する放映権料、エージェントの暗躍やスポンサーと協会の利害関係、そしてスポーツを利用する政治家まで。スポーツは純粋な「競技」から、完全に「ビジネス」と化した。スポーツを殺したのは一体誰なのか。暴走するスポーツバブルの裏側を検証する。

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