
睡眠不足は個人だけでなく国家にも損失をもたらす。実は平均睡眠時間と1人当たりGDPには明確な相関関係があり、日本は“外れ値”として注目を集めている。睡眠時間が長くなれば、国の生産性は上がるのか――企業の健康経営支援を行う石田陽子氏が解説する。※本稿は、石田陽子『Dr.Yokoの睡眠マネジメント 眠るほど、ぐんぐん仕事がうまくいく』(文芸社)の一部を抜粋・編集したものです。
睡眠不足は国の損失
GDPと眠りの深い関係
睡眠時間が短くなればなるほど、健康リスクが増大するという関係があり、その健康リスクには、身体的な病気やメンタルヘルス不調のほか、生産性低下や労災事故という社会的な健康リスクが含まれます。
生産性低下のリスクを減らし、生産性を増大させたいとき、睡眠時間を増やすのは最善の策です。
図8には1人当たりGDPを横軸、平均睡眠時間を縦軸として、各国をプロットしました。1人当たりGDPは、社会的な健康である生産性の指標です。

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図8の「The Economist」による調査は、自記式アンケートベースではなく、一種のスリープテックであるスマホアプリによる睡眠時間データを用いています。そのため、この調査における日本の平均睡眠時間は6時間20分で、OECDが採用している7時間22分よりいくらか現実的です。