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China Report 中国は今

中国人観光客の高額消費を支える銀聯カードは打ち出の小槌か?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第31回】 2009年7月23日
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 赤、紺、緑の3色重ねに白抜きで「Union Pay 中国銀聯」。昨今、この銀聯マークをあちこちで見るようになった。銀座の百貨店、新宿の家電量販店、上野のジュエリーショップなど、およそ中国人訪日客が行くであろう小売店には、このシールが貼られている。これは日本円がなくても「人民元で買い物できますよ」というサインだ。

 店内の専用POS端末に、銀聯カードを通すと利用代金が中国の自分の口座から落ちる。手数料もなく、中国人にとってはお財布そのものだ。否、外貨持ち出しの上限に縛られず、中国での預金残高を上限に欲しいものをゲット(*)できる“魔法のカード”と言っても過言ではないだろう。

(*)自動車や不動産などの固定資産は銀聯カードでは買えない。

 中国銀聯とは中国人民銀行が02年に設立した金融サービス機関だ。銀行間接続ネットワークを運営する会社で、異なる省、異なる銀行間の決済をスムーズにさせるための機能を全国に導入することを目的に発足した。一方、デビットカードとしての機能も併せ持つ。02年の導入後、瞬く間に中国全土に普及し、09年6月には20億枚を発行するに至った。

 04年になると、中国人の海外旅行ブームに乗って銀聯のネットワークも国境を超える。香港を皮切りに、09年6月には61の国と地域で59.7万台のATM機が稼動し、銀聯の端末を置く加盟店は45万店にまで増えた。

 なぜ、これほど加速度的にネットワークを広げることができたのか。その背景には2000年以降の外貨準備高の急増がある。90年代前半は100億ドル台で推移していた外貨準備高も、今や2兆ドルを超すほどに積み増している。政策も変わり、「もうドルはいらない」とばかりに、中国市民に対しても海外での消費を奨励するようになった。中国人が海外渡航する際に持ち出すことのできる外貨も5万ドルまで拡大した。

 しかも、銀聯カードさえあれば実質青天井だ。クレジットカードであれば利用限度額に拘束されるが、銀聯カードは預金残高まで使える。「中国人セレブが何百万円の高級腕時計を買った」というのは、“都市伝説”でも“マスコミの暴走”でもなく、この銀聯カードが可能にするシナリオなのだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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