大型化している
地域経済協定
TPP(環太平洋経済連携協定)で大きく揺れた日本国内であるが、世界に目を転じると、TPP以外でも自由貿易協定や経済連携協定(これらを総括して以下では地域経済協定と呼ぶ)で大きなうねりが起きている。
米国は、環太平洋地域を対象としたTPPと同時に、EUと自由貿易協定の話し合いを進めている。そのEUは、米国とは別に、日本との地域経済協定の交渉を開始した。アジア太平洋地域でも、TPPと並行して、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉が始まろうとしている。
世界のどの地域を見ても、大国が参加した巨大な経済連携への動きが顕著である。地域経済協定といえば、近隣の特定の国が貿易自由化の交渉をするという、どちらかと言えば、地域限定的な存在のように考えられてきた。しかし、ここにきて、地域経済協定は、世界全体の通商ルールを決める中心的な存在になりつつある。
日本がTPP交渉に積極的に取り組む必要がある大きな理由の1つは、この点にある。世界の流れに乗り遅れれば、日本は世界の通商ルール形成の外に置かれかねない。できあがった通商ルールを受け入れればよいという見方もあるだろうが、世界有数の経済大国であり、貿易立国を標榜する日本が、そうした消極的な姿勢でよいはずがない。
大型の地域経済協定が次々に生まれるとすれば、そこで形成される国際経済秩序は、20世紀のそれとは大きく異なるものになる可能性がある。私たちがいま目にしているのは、21世紀型の新しい通商ルールの形成過程なのだ。