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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

機能不全に陥ったWTOから
21世紀型の国際通商ルールであるTPPへ

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第8回】 2013年5月13日
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大型化している
地域経済協定

 TPP(環太平洋経済連携協定)で大きく揺れた日本国内であるが、世界に目を転じると、TPP以外でも自由貿易協定や経済連携協定(これらを総括して以下では地域経済協定と呼ぶ)で大きなうねりが起きている。

 米国は、環太平洋地域を対象としたTPPと同時に、EUと自由貿易協定の話し合いを進めている。そのEUは、米国とは別に、日本との地域経済協定の交渉を開始した。アジア太平洋地域でも、TPPと並行して、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉が始まろうとしている。

 世界のどの地域を見ても、大国が参加した巨大な経済連携への動きが顕著である。地域経済協定といえば、近隣の特定の国が貿易自由化の交渉をするという、どちらかと言えば、地域限定的な存在のように考えられてきた。しかし、ここにきて、地域経済協定は、世界全体の通商ルールを決める中心的な存在になりつつある。

 日本がTPP交渉に積極的に取り組む必要がある大きな理由の1つは、この点にある。世界の流れに乗り遅れれば、日本は世界の通商ルール形成の外に置かれかねない。できあがった通商ルールを受け入れればよいという見方もあるだろうが、世界有数の経済大国であり、貿易立国を標榜する日本が、そうした消極的な姿勢でよいはずがない。

 大型の地域経済協定が次々に生まれるとすれば、そこで形成される国際経済秩序は、20世紀のそれとは大きく異なるものになる可能性がある。私たちがいま目にしているのは、21世紀型の新しい通商ルールの形成過程なのだ。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

「伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論」

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