開業の日から30年。初年度は入場者993万人。そして翌年度、目標の入場者1000万人を達成――そして驚異のリピーター率97%。なぜ、東京ディズニーランドは人を惹きつけるのでしょうか。マーケティング、さらには営業・開発担当者として携わった著者が、ディズニーのマーケティングのほんの一部をご紹介します。
ディズニーのマーケティングとは、何か?
「年間1000万人の入場者をどうすれば達成できるか考えよ。」
それが、私たちに告げられた、最初のミッションでした。
私は1981年、東京ディズニーランドの開業準備を進めていたオリエンタルランドに入社しました。同期は47名。大卒/高卒の定期採用2期生でした。入社後、アメリカのディズニーランドにも何度も行っていた私は、アメリカから来ていた幹部の推薦もあり、マーケティングを担当する部署に配属されたのでした。そこでいきなり告げられたミッションが、年間1000万人、だったのです。
これは途方も無い数字です。開業前、当たり前ですがお客様はまだゼロ人。しかも、開業準備を推し進めていた頃、実はディズニーランドというものの存在について、日本で知っている人は今からは考えられないほど少数でした。
しかし、開業2年目のの1984年4月2日。
1年目はかなわなかった、目標としていた来場者1000万人を達成することができたのです。さらに、東京ディズニーシーができる前は、1700万人を超える来場者を記録。東京ディズニーリゾートとして来場者数が発表されるようになってからも2500万人を超える入場者記録を毎年のように更新しています。
ディズニーのマーケティングの秘密とは?
どうしてこれほどまでに、東京ディズニーランドは人を惹きつけるのか?
「ディズニーだからできたんだろう」、そういう声もあるかもしれません。
そして、そういう部分がゼロとは言い切れないかもしれません。
しかし、私はこのディズニーのマーケティングは、あらゆる業種業態、そしてどんな人間関係にも応用できる、とても汎用性の高い、ごくごく基本的なものだと感じています。
ディズニーのマーケティングとは何か。
まず、その最大の特徴を端的に挙げるなら、ブランドに関わる目に見えるものすべてをコントロールする、ということが挙げられると思います。
そうすることによって、作り上げたブランドを確固たるものにし、浸透させていくのです。
その、ほんの一例を、次ページでは見ていきましょう。