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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

円安は企業利益をどう変化させるか
――シミュレーションモデルによる分析

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第4回】 2013年5月16日
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 上場企業の決算発表が続いている。これに対して、「円安によって企業が大幅増益」というトーンの報道が多い。株価上昇を支えているのも、そうした見方であろう。企業の利益増加は、本当に円安だけによって生じているのだろうか?そして、今後はどうなるのだろうか?以下では、円安が企業利益に与える影響を分析することによって、今後の見通しを考えることとしよう。

2013年3月期増益の大きな原因は、
大震災による落ち込みからの回復

 現時点では、2013年3月期の上場企業の営業利益は、12年3月期に比べて10%程度増益、経常利益は20%程度増益になると考えられている。

 まず第1に注意すべきは、仮にそうなったとしても、営業利益は、11年3月期に比べれば、まだ7.6%ほど低いことだ。11年3月期は、円高の期間である。円安になったにもかかわらず、現実の利益は円高期に及ばないのである。

 したがって、「増益」と言うが、そのかなりの部分は、東日本大震災の影響で12年3月期の企業利益が低すぎたことの反動にすぎない。つまり、13年3月期決算が「好調」と言われることのかなりの部分は、日本経済が震災の影響から脱却しつつあることを示すにすぎないのだ。そして、現在までのところでは、まだ震災前の状況を回復していないのである。

 また、2012年度においては、エコカー補助によって自動車の国内販売が大幅に増加したことにも注意が必要だ。自動車産業の増益のかなりの部分は、これに起因するものである。

円安の利益増加効果は、
輸出、国内販売、海外生産で異なる

 円安が利益にどのような影響を与えるかを見るために、つぎのような簡単なモデルを考えよう。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

日本銀行が新しい金融政策を決定した。今後2年間でマネタリーベースを2倍に増加させ、消費者物価指数上昇率を2%にするとしている。これを受けて、「円安が進行して輸出が増大する。輸出関連企業の利益が増大し、株価が上がる。日本経済は長く続いた停滞から脱却しようとしている」と考えている人が多い。果たして、この期待は、実現されるだろうか?

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