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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

縮小社会なのに福岡市周辺で人口激増のなぜ
子どもと高齢者の両方が増える自治体の“嬉しい悲鳴”

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第69回】 2013年5月21日
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 福岡空港の混雑で到着が遅れ、焦りながらタクシーに乗り込んだ。約束した時間は午後1時。車内で先方に連絡を入れるべきか迷っていると、いつの間にかタクシーは町の区域内を走っていた。

 空港に近いとは聞いていたが、これほど近いとは思ってもいなかった。わずか10分ほどで目的地にたどり着いた。タクシーを降りて向かった先は、福岡県粕屋町の庁舎。正面玄関から中に入ると、小さな子どもの姿が目に飛び込んできた。

 ロビーの一角に子ども用スペースが設けられており、数人の幼児が戯れていた。親たちが役場での用事を済ませるのを待っているのである。無邪気な姿にこちらの心持ちも自然と和んできた。

人口増加率が全国トップの粕屋町
2040年には10年対比で29.8%増!?

 「平成22年の町の出生率は1.78で、県内でトップでした。高齢化率は14.5%で、こちらは県下で一番低い数値です。町の人口は自然増が毎年400人以上あり、社会増も数十人ほどです」

 話をこう切り出したのは、粕屋町の経営政策課の職員だ。町の様々なデータを示しながら丁寧に説明してくれた。福岡県粕屋町は人口4万3960人(今年3月末時点)。福岡市のベットタウンとして急成長しており、厚生労働省の人口問題研究所が発表した地域別将来推計で、全国トップの人口増加率を記録した。

 それによると、粕屋町の2040年の推計人口は5万4518人で、2010年と比べて29.8%も増える見通しだ。地域別将来推計で人口が増えるとされた自治体は、全国で80を数えるほど。

 そのなかでも20%以上の増加率を推計された自治体は、わずかに5つ。愛知県長久手市(22.2%増)、沖縄県豊見城市(23.7%増)、宮城県富谷町(24.4%増)、石川県川北町(24.8%増)、そして29.8%増の粕屋町である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


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国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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