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現実となった“株式市場5月危機”に出口は見えるか?
未曾有の乱高下を演出する投資家たちの狼狽と期待

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第277回】 2013年5月28日
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 「Sell in May and go away」――。5月に売り切って株式市場から出て行け!」、あるいは「株式は11月に買って、5月に売れ」という意味だ。

 これらは、昔からウォール街で言われてきた一種の格言だ。この言葉の背景には、5月に株式市場が変調をきたすケースが多かったことがある。5月に軟調になる前に保有株式を売って利益を確定すると、良好な運用成績を上げることができるという意味が含まれている。

 株式市場には、こうしたジンクスめいた言葉がいくつもある。その1つに、“1月効果(January Effect)と呼ばれるものがある。毎年12月の株価が低調な一方、1月の株価は相対的に堅調になる傾向があるというのだ。

 確かに、実際に過去の統計を調べると、そうした効果が見られる。主な説明として、米国などでは12月に年間の所得を申告して納税するため、12月中に損の出ている株価を整理して損を実現し、納税額を減らそうという意図が働き易い。

 そして12月に売却した資金で、1月に株式を再度購入することが多いため、1月の株式市場は堅調な展開になり易いと言われている。

 日本株については、昨年の11月中旬以降、堅調な展開が続き、さらに今年4月の日銀の“異次元の金融緩和策”の実施により、上昇速度が増した。そうした状況から、5月以降、大手投資家の利益確定の売りなどによって調整局面を迎えるとの観測が出ていた。

 5月23日、突如日経平均株価が1143円安の大幅下落となり、奇しくも“5月急落説”が現実のものなってしまった。

まさにバブル時代を彷彿とさせる
スピード違反だった日本の株市場

 日本株は、昨年11月の民主党野田政権の衆院解散をきっかけに上昇傾向を辿り始め、3月に就任した黒田日銀総裁が、今年4月上旬に“異次元の金融緩和策”を打ち出したことによって、潤沢な流動性の供給をバックに上昇速度が一気に加速した。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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