建設機械は、実際に仕事をしてナンボである。2012年12月上旬に完成して以来、現場導入については音沙汰のなかった「原子力災害対応用小型双腕重機型ロボット」(ASTACO-SoRa)だが、やっと5月下旬に東京電力福島第1原子力発電所の建屋内へ“実機投入”に向けた秒読み段階に入った。

現行モデルのASTACOは、第2世代に当たる。右は、福島原発に向かうASTACO-SoRa
Photo by Shinichi Yokoyama(左) (C)日立建機(右)

 福島第1原発には、すでに人間が近づけない高い放射線環境下で現場の調査・測定などを行う各種の小型ロボットが投入されている。だが今後は、がれきの撤去、資機材の搬出入、遮蔽物の設置などに特化した“ロボット建機”を投入する必要性が高まってきた。

 これまで「双腕式の作業機械(ASTACOシリーズ)」を手がけてきた日立建機に、原子力関連施設などの遠隔操作技術を持つ日立パワーソリューションズ(旧日立エンジニアリング・アンド・サービス)が加わり、共同開発した小型のロボット建機がASTACO-SoRaだ。末尾のSoRaは、「福島に再び美しい空を」との思いから命名されているという。

 2本のアーム(腕)を別々に稼働させることで、掘る、運ぶ、つり上げる、押さえる、切断するなどの細かい土木作業に従事する。

 その独特の形状と操作性により、ASTACOは、アニメ「機動戦士ガンダム」にちなんで“ガンダム建機”と呼ばれたり、あるいはアニメ「機動警察パトレイバー」になぞらえて“レイバー建機”と呼ばれたりする。建機ファンの間では、よく知られた存在だ。