ディー・エヌ・エーとグリーの二社が牽引する、いわゆるソーシャルゲームの勢いが止まらない一方で、様々な問題が社会問題化しつつある。ソーシャルゲームをパチンコ産業として捉えた場合の経済効果と、利益を産み出す価格差別戦略の限界を扱った上編に続いて、中編では、消費者(ユーザー)の観点から捉えた過消費問題について検討する。

ソーシャルゲームを含んだ
オンラインゲームに対する相談件数は三年間で倍増

 上編では、“パチンコのような”ソーシャルゲームの収益構造について説明したが、ソーシャルゲームの流通課金額(市場規模)が直近四半期で900億円(三菱モルガン・スタンレー証券調べ)を超えていることに驚いた読者も多かったことだろう。これくらいの規模に至れば、家庭用ゲーム機市場規模とそう遜色ないのは前編で述べたとおりだ。

 だが、この900億円を払っている人は本当に納得して、お金を払っているのだろうか。右のグラフは、全国の消費者センターに寄せられた、ソーシャルゲームを含むオンラインゲームに関する直近3年間の相談件数である。

 独立行政法人国民生活センターによると「『ソーシャルゲーム』という名称は新しすぎて、そのようなカテゴリーでのデータは存在していない」とのことで、従来のPC系オンラインゲームなどと同じカテゴリーで、2009年からデータが集計されているという。

 3年で相談件数が倍以上になっていることについて、同センターの相談情報部は「誰もが参加しやすいSNS型のゲームが普及した影響は十分考えられる」とし、その根拠として、「未成年者の利用に関する相談が増えたこと」を挙げた。この未成年者利用問題は、「IDの利用停止や強制退会などに関する相談」と同じくらい多く、相談件数のほとんどをこの2点が占めるという。