ディー・エヌ・エーとグリーの二社が牽引する、いわゆるソーシャルゲームの勢いが止まらない一方で、様々な問題が社会問題化しつつある。ソーシャルゲームをパチンコ産業として捉えた場合の経済効果を扱った前編、消費者(ユーザー)の観点から捉えた中編に続いて、後編はソーシャルゲームの過消費における自己責任論の妥当性と、コンテンツ業界と社会のサステナビリティの関係について検討する。
ハマるコンプガチャの作り方
「優越感」「安心感」を刺激するため全力で煽る
前回は、ヒマつぶしをきっかけにソーシャルゲームを始めたら、コンプガチャに大ハマりして、1年で150万円を使った主婦の話を紹介した。なぜ、自分が欲しいアイテムを直接買えない(コンプ)ガチャという仕組みは、そこまで人々を魅了するのだろうか。そこで今度は、実際にあるソーシャルゲーム関係者に話を聞いた。
「ソーシャルゲームの評価は、ガチャを何度も引かせることができるかどうかです。ユーザーが感じるおもしろさなんて考えていません。ですので、ユーザーさんに、気持ちよく何度も何度も継続的にガチャを引いてもらうことに、我々は全力投球します。
前回、『恋してキャバ嬢』でのランキングの話が書いてありましたが、このランキングの存在はコンプガチャを引かせるのに大変効果的に働きます。ガチャの入ったゲームで、ユーザーが他人よりも極端に強くなるためには、ガチャ、特にコンプガチャをやるしかない。なぜなら、極端に強くなれるアイテムは無料では絶対に手に入らないからです。
上位ランキングに食い込むためには、月額にして10万円以上コンプガチャを使わないと難しい。なので、1年で150万円使う話は、ソーシャルゲームでは普通です。
たとえば、強い自分を演出できるコンプガチャ付きイベントは、そのひとつです。弱い人は、一人じゃ倒せないから、より強い人に助けを求めますし、強い人は、ヘルプをお願いされた手前、強さを見せ付けたくなる。