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生活保護のリアル みわよしこ

「自立支援」は、生活保護費削減の切り札か?
貧困の拡大を助長しかねない
「困窮者自立支援法案」を検証

――政策ウォッチ編・第27回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第27回】 2013年6月7日
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2013年5月24日、衆議院では、「生活保護法改正案」「子どもの貧困対策法案」と同時に、「生活困窮者自立支援法案」に関する審議が開始された。これら3つの法案は、6月4日、衆議院で可決された。参議院でも可決されれば、今国会で成立することになる。

今回は「生活困窮者自立支援法案」について、内容と実効性を検証する。この法案は、「自立支援」という名称から思い浮かべられるイメージどおりの内容だろうか?

成立の可能性が高くなった
生活保護法改正案など3法案

6月6日、厚生労働記者会において行われた、生活保護法改正問題に関する緊急記者会見(主催:生活保護問題対策全国会議等)。熱心に取材を行うテレビクルー

 2013年6月4日、生活保護法改正案は、自民党・公明党・民主党・日本維新の会・みんなの党・生活の党などの賛成多数により、衆議院で可決された。

 審議の段階では、申請手続きを非常に困難にする第二十四条の改正案に対し、改正以前と同様の手続きによる申請を可能にする修正が加えられた。しかし、その他にも多数の問題を残したまま、衆議院は改正案を可決してしまった。現在は、引き続いて、参議院での審議が開始されている段階だ。

 今回は、生活保護法改正案と同時に可決された「生活困窮者自立支援法案」に焦点を当て、その目指すところを検証する。「生活困窮者」の「自立」を「支援」することは、一見、望ましいことであるように感じられる。しかし、「生活」「困窮(者)」「自立」「支援」といったキーワードからイメージされるものは、非常に多様だ。

 筆者は、生活保護法改正と同等あるいはそれ以上に、この「生活困窮者自立支援法案」は危険だと考えている。「自立支援」の名の下に、困窮した人々に対して生活保護の受給を実質的に不可能にしたり、脱出の見通しのない低賃金労働へと囲い込んだりする可能性があるからだ。

 「もしかすると、目的は「自立支援」ではなく、単なる生活保護利用抑制であったり、低賃金労働を余儀なくされた多数の人々を作り出すことであったりするのでは?」

 と勘ぐりたくもなる。

 まずは、法案の内容を見てみよう。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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