2013年5月24日、衆議院では、「生活保護法改正案」「子どもの貧困対策法案」と同時に、「生活困窮者自立支援法案」に関する審議が開始された。これら3つの法案は、6月4日、衆議院で可決された。参議院でも可決されれば、今国会で成立することになる。
今回は「生活困窮者自立支援法案」について、内容と実効性を検証する。この法案は、「自立支援」という名称から思い浮かべられるイメージどおりの内容だろうか?
成立の可能性が高くなった
生活保護法改正案など3法案
2013年6月4日、生活保護法改正案は、自民党・公明党・民主党・日本維新の会・みんなの党・生活の党などの賛成多数により、衆議院で可決された。
審議の段階では、申請手続きを非常に困難にする第二十四条の改正案に対し、改正以前と同様の手続きによる申請を可能にする修正が加えられた。しかし、その他にも多数の問題を残したまま、衆議院は改正案を可決してしまった。現在は、引き続いて、参議院での審議が開始されている段階だ。
今回は、生活保護法改正案と同時に可決された「生活困窮者自立支援法案」に焦点を当て、その目指すところを検証する。「生活困窮者」の「自立」を「支援」することは、一見、望ましいことであるように感じられる。しかし、「生活」「困窮(者)」「自立」「支援」といったキーワードからイメージされるものは、非常に多様だ。
筆者は、生活保護法改正と同等あるいはそれ以上に、この「生活困窮者自立支援法案」は危険だと考えている。「自立支援」の名の下に、困窮した人々に対して生活保護の受給を実質的に不可能にしたり、脱出の見通しのない低賃金労働へと囲い込んだりする可能性があるからだ。
「もしかすると、目的は「自立支援」ではなく、単なる生活保護利用抑制であったり、低賃金労働を余儀なくされた多数の人々を作り出すことであったりするのでは?」
と勘ぐりたくもなる。
まずは、法案の内容を見てみよう。