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China Report 中国は今

農地集約のインセンティブは「豪邸」
農業の大規模化で崩壊する中国の農村

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第127回】 2013年6月7日
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 かつて農業大国と言われた中国だったが、現在、中国で進んでいるのは“農村の崩壊”だ。13億人の人口を抱える中国が、耕地の不足と食糧生産の不足にさらされていることは、中国が抱える最大の問題のひとつである。

 一方で、着々と進んでいるのが、“農業の大規模化”である。農業の担い手にまとまった土地を提供するという農地集約は、日本と共通する課題でもある。日中の農業は、農地面積や生産規模、あるいは生産コストの違いこそあれ、農業人口の高齢化や担い手不足、また小規模な農家経営など、類似点も少なくない。今回は中国の農業の今をクローズアップする。

土地は私有から公有、さらに占有へ
共産党支配下の中国農業の歩み

 まずは簡単に中国農業について、土地の権利関係という角度から見てみてみよう。中国の農業は1949年、建国当初の『土地改革法』により、地主階級が土地を支配する封建的土地所有制から、農民による土地の所有制に変わった。これにより、農民は土地を得るのみならず、「自由経営権、売買と賃貸の権利」を得ることができるようになった。

 1950年代中頃になると、農民による土地の所有制は「集団所有」に変わった。さらに1957~1978年にかけて人民公社、生産大隊、農村生産小隊による「公有制」となることで、農民は“社員”として生産と労働を求められる一方で、私有する権利が消滅した。

 1978年、改革開放政策が幕開けすると、「集団による管理体制」の形態から、「各農家単位による生産および経営を管理」する形態となり、生産責任制のもとで土地の所有権と使用権が分離されることになる。

 その後、2008年に『新土地改革法』が制定された。土地と家屋は「村の経済組織による集団所有」としながら、生産経営権を完全にするかたちで、「土地に対する占有・使用・収益等の権利を農民に認める」ようになる。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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