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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

米国金融政策の変化が日本に及ぼす影響とは?
1ドル100円割れの裏に潜む危険な徴候

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第12回】 2013年6月10日
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QEの終わり?
さまざまな憶測が飛び交う

 米国のFRBが行ってきたQE(量的緩和)政策がいよいよ出口戦略を探りだしたとの見方が出始めている。正常時では考えにくいような大胆な金融緩和を行うQEだが、いつまでもそれが続くというものではない。米国の経済に回復の兆しが見えてきており、株価の好調が続くなか、出口の議論が出てきてもおかしくない。

 私は米国の金融政策のウォッチャーではないので、FRBの金融政策が今後どのような展開をするのか、ここで披露できるような予想を持っているわけではない。ただ、今議論すべきは、米国の金利上昇が日本経済に及ぼす影響である。

 さて、米国の長期金利が上昇を始めたら、日本の長期金利はどのような影響を受けるのであろうか? 米国の金利が上がれば、日本の金利も上がるだろうと考える人が多いかもしれない。たしかに、主要国の金利は連動しているので、そうしたメカニズムが働く可能性はある。

 しかし一方で、米国の金利が上がれば日本の金利が上がるというよりは、為替レートがドル高に向かうのではないか――日本から見れば、さらなる円安が進むのではないか――そう考える人もいるだろう。

 日本が大胆な金融緩和政策をとったことが、円安(日本から見ればドル高)をもたらした。同じように考えれば、米国が大胆な金融緩和を止めていけば、円安(ドル高)という形でその影響が出てくるように思える。

 日本での金利上昇なのか、それともさらなる円安なのか、あるいはその組み合わせなのか? どれになるかは一概には言えないが、いずれにせよ米国の金利上昇は、日本経済にそれなりの影響を及ぼしそうだ。今はアベノミクスに世の中の関心が集まっているが、米国の動向にも気を配る必要がある。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

「伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論」

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