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日銀発金融ショックを招いた
海外勢の都合のよすぎる注文

週刊ダイヤモンド編集部
2013年6月17日
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黒田総裁は「長期金利動向には十分注意していくし、変動率が高まることは好ましくない」と述べた
Photo by Ryosuke Shimizu

 6月10~11日の金融政策決定会合で、日本銀行は期待されていた“金利安定化策”を導入しなかった。「固定金利オペ」の期間延長である。

 国債や社債などを担保に0.1%の固定金利で銀行に資金供給する日銀の金融調節手段の一つであり、平常は1カ月物や3カ月物の短期資金供給に使われ、期間は1年以内に限られている。

 これを2年以上に延長し、乱高下する長期金利を抑えるはずだ、と前のめりの観測が海外投資家を中心に高まっていたのだ。欧州中央銀行(ECB)が2011年末に実施した3年物LTRO(長期資金供給)にちなみ、「日本版LTRO」とも呼ばれつつあった。

 背景には、4月4日の質的・量的緩和以降、銀行の取引量が多い短期ゾーン(5年以下)で長期国債の大量売却が発生し、金利が急上昇したことがある。そこで日銀は4月11日、初めて1年物の固定金利オペを実施。以降、5月までに計7回もの1年物オペを打った。

 1年物オペで資金調達した銀行は、この先1年間の調達金利が確定し、金利変動リスクを軽減できるため、短期ゾーンの国債を買いやすくなる。オペの期間を延長すれば買いやすさは増し、金利も低下するというわけだ。

導入しづらい三つの事情

 しかし、黒田東彦総裁は「現時点では必要ない」と日本版LTROの導入を一蹴。期待を裏切られた市場は失望し、株売り・債券売り・円高の動きへと連鎖、金融ショックは世界を駆け巡った。

 確かに日銀の判断には一理ある。最近の長期金利は徐々に安定しつつあり、1年物オペを打つ余地も残っている。さらに言えば、実は固定金利オペの期間延長は、導入しづらい事情が他にもある。日銀が物価目標の達成を目指す上で、多くの矛盾をはらむのだ。

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