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山田厚史の「世界かわら版」

「政府宣伝広報」が目立つG8サミット報道
最重要は税逃れ&タックスヘイブン規制だった

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第38回】 2013年6月20日
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 メディアが自国の課題を中心に報道するのは、どの国にもあることだ。だが、その取り上げ方が国民をミスリードするなら報道の名に値しない。北アイルランド・ロックアーンで開かれた先進国首脳会談(G8サミット)を報じた日本のメディア、とりわけテレビに、「アベノミクスへの評価」を針小棒大に伝える「政府宣伝広報」が目立った。G8が直面する課題から国民の目をそらすことに一役買ったことにはならないか。

的外れの日本メディアの報道

 G8が直面する課題とは、先進国はどこも財政が悪化し、景気対策と財政規律がせめぎ合って政府は有効な手だてが打てないこと。背景には「税金逃れ」に走る巨大企業や富裕層がいて、税収不足の解消を庶民への増税に頼り、納税者の悲鳴が政治をますます不安定にする、という悪循環がある。

 富裕層と多国籍企業が税金の逃避先として利用しているタックスヘイブンを無視できなくなった。「強者による税逃れへの対策」。これが今回、首脳会談の中心議題だが、日本の多くのメディアは「アベノミクスは支持されたか」という的外れの話題に焦点を当てた。

 その典型が記者会見の映像だ。

 「アベノミクスに強い期待と高い評価が寄せられました」

 用意された原稿に沿って声を張り上げる安倍首相の表情が繰り返し放映された。国内ではメッキが剥がれた、と言われるアベノミクスも、サミットでは評判が良かったのか、と視聴者は受け取るだろう。発言を客観的に伝えた、のかもしれないが、このシーンが今回のG8サミットを象徴しているのだろうか。

 新聞報道によると、イタリアのレッタ首相が「経済再建の参考にしたい。イタリアで講演をお願いしたい」と言ったという。こういうのを社交辞令という。当たり障りない発言でその場の空気をなごませるのはよくあることで、「高い評価、強い期待」というのは我田引水である。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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