栃木県在住の筆者が東京などへ赴くときは、インターネットで事前に、スターバックス・コーヒー・ジャパン(以下、スターバックス)や、ドトール・日レス・ホールディングス(以下、ドトール)の店舗を検索する。スマホのクーポン配信が豊富なマクドナルドも、検索対象だ。

 出かける前にこうした店の情報を得ておくのは、目的地周辺で時間つぶしをするためである。次の〔図表 1〕で示すように、これだけの数があれば、どこの店に入ろうかと迷うことがない。

スターバックスの経営戦略が<br />ドトールの香りとマクドナルドの旨味をかき乱す

 スターバックスについては2013年夏に、1000店を越すとされている。同年5月には“Beyond 1000 stores”と題した説明会が開催された(ダイヤモンド・オンライン/リアル経理学)。

 筆者は生粋のブラック珈琲党であるが、実際に店に入るときは、いまでもときどき躊躇する。レジの向こうに高々と掲げられたメニュー表の、種類の多さに戸惑うのだ。喫茶店に入ったとき、「ブレンドを」と一言ですませるわけにいかない。

 特に筆者のような田舎者は、愛想笑いを絶やさない女子店員を前にすると「スターバックスやドトールには慣れているんだぞ」と、妙な見栄が顔を出す。そのため、5秒以内にメニューを選ばなければならない、という男の意地が働く。困ったものだ。

ドトールやスターバックスの本質は
「不動産業」にあり

 スターバックス、ドトール、マクドナルドと役者を揃えたところで、本題に入ろう。今回のテーマはこれら三社の「三つ巴戦」を展開することにある。三「社」三様の視点では、話の焦点がぼやけるので、店舗数で他社に劣るスターバックスが、上位2社にどれだけ食い込めるか、に視点を置いて述べることにする。

「スターバックスとドトールはコーヒー専門店であり、マクドナルドはバーガーがメインなのだから、優位性の検証などできない」という意見があるだろう。「個人にはそれぞれ嗜好があるし、“Specialty Coffee”のスターバックスと、“Self Coffee Shop”のドトールの比較もできない」という意見もあるはずだ。