ついに顕在化した中国の「異常事態」
不安定な経済大国の短期金融市場

 6月初旬、上海の銀行間貸出金利(SHIBOR)が大きく跳ね上がった。それまでのSHIBOR金利は、2%台半ばから4%台で比較的安定した動きとなっていたのだが、中国国内の中堅銀行の決済不能の噂によって、一挙に9%台まで上昇した。

 その後、やや落ち着きを取り戻していたものの、6月下旬には一時13%台まで急騰した。そうした金利の乱高下を見ると、一部の銀行が資金繰りの悪化などによって、銀行間の市場で資金をなりふり構わず取りまくった構図が浮かび上がる。

 金融市場の専門家の間では、従来から懸念された中国の金融不安の問題が顕在化し始めたとの観測が流れ、中国上海株式市場には売り注文が殺到し、株価は大きく下落することになった。

 中国経済に関する懸念の台頭は世界の主要金融市場にも影響を与え、わが国の株式市場は大きく売り込まれる局面もあった。

 もともと高成長を達成してきた中国経済は、輸出や設備投資主導のいびつな経済構造であることに加えて、金融市場が未整備で国内の不動産市場にバブルが発生しているなどの重要な問題を抱えている。現在の習政権が、これらの問題を解決することは容易なことではない。いずれ、どこかの段階で中国経済に大きな変動が訪れることは避けられないと見る。

 銀行間の貸借レート(SHIBOR)が、これほど大きく振れることは一種の異常事態と言える。そうした事態によって、影響力の大きい銀行が破綻するようなことがあれば、そのインパクトは経済全体に及ぶことは避けられない。それを見て、株式市場が大きく下落したのは当然の結果だ。