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ペット販売「8週齢規制」の行方

次期法改正に向け 無視できない課題に

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【第8回】 2010年2月26日
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 生体を扱うペットコーナーを導入するHCもいまでは珍しくはなくなったが、このペット販売にも規制がかけられる可能性が浮上してきた。その規制とは、動物愛護管理法改正による幼齢のペット販売の禁止だ。現在、最も売れるといわれているペットは生後30~40日だが、規制が始まると「売れ筋」の幼齢ペットを販売できなくなり、ペットビジネスへの影響は避けられない。

 幼齢動物の販売は、すでに欧米先進国の多くで禁止されている。米国では連邦規制で、生後8週間以上の離乳済みの犬猫でなければ販売できないし、英国でも生後8週間に達していない犬の販売は禁止されている。このほか、ドイツ、スウェーデン、オーストラリアなどでも離乳以前の幼齢動物の販売が禁止されている。

 

 この規制は、動物の成長における社会化期にあたる生後8週間以前の販売を禁止しているため、「8週齢規制」と呼ばれることもある。犬の場合、社会化期以前に親から引き離すと、成犬になってからも、必要以上に臆病になったり、ほえたりかみつくことが多くなるなど、健全な成長の妨げとなることがある。このため生後8週間は親とともに育て、健全に成長させ、その後にペットとして販売するのが望ましいとされる。

 現在、わが国のペットショップでは、犬の場合、生後4週間程度で販売され、生後30~40日くらいの幼齢犬がよく売れる。小さな子犬の方が可愛らしく、より高い価格で販売されており、成犬に近づくのに伴い、価格は安くなる傾向にある。

 こうした販売事情を抱えるわが国に8週齢規制が導入されれば、ペットショップの販売への影響は避けられない。生後8週間以後から販売するのであれば、成犬になるまでの期間も短く、短期間で販売する必要がある。しかも成犬に近づけば価格を下げなければ売れない。動物愛護の観点から規制される幼齢動物の販売だが、ペットショップの営業面への影響は避けられない。商品とはいえ、扱うのは命ある動物である。他の商品と同様に扱えない問題である。

 幼齢動物の販売を規制する動物愛護管理法は、改正後5年をメドに見直される。前回の法改正は平成17年度(施行は平成18年6月)で、このときの法改正時期にも8週齢規制については、環境省の動物愛護部会で議論された。動物愛護団体から出された提案について検討されたが、ペットショップから「収入の低下が避けられない」など、強い反対意見が出された。議論の結果、このときは「8週齢には科学的根拠がない」という理由で、法規制は見送られた。

 動物愛護管理法を所管する環境省の動物愛護管理室では、動物愛護に関する調査を年に1回実施しており、平成22年度の調査結果が出された後に、次回の法改正のための検討に入る。そして、その検討の中で幼齢動物の販売規制が検討対象になるのは、確実な情勢だ。

 すでに、一部のペットショップの業界団体が「生後45日以下の動物は販売しない」という自主規制を始めているほか、ペットショップの現場では、ペットが殺処分されるのを見て、ショックを受けた店員が辞めるケースも出始めている。売上重視で動物への配慮のない店舗運営をすれば、ペットショップの現場にもさまざまな形で、その影響が及ぶのも現実である。ペットショップの売上減につながる規制だが、ペットショップの現場でも規制の必要性が徐々に高まっているようにみえる。

 環境への配慮が従来以上に問われるようになった昨今だが、動物愛護への配慮のないペット販売も問題視される社会的風潮は強まっている。規制される、されないにかかわらず、ペットの取り扱いには愛情がなければならない。購入者(飼い主)側の問題も浮上するなかで、ペット販売を取り巻く状況も変わってきている。

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