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辻広雅文 プリズム+one

消費税は低所得者に不利か?「逆進的」という誤解を解く

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
【第7回】 2007年12月19日
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 税制の設計では、公平性の担保が重要になる。ただし、何をもって公平とするかは、人によって考え方、感じ方が違う。だから、税制の変更や新税の導入が難しいのである。

 いずれ消費税増税論議が本格化したとき、低所得者層が不利だという「逆進性」問題が一大論点となるだろう。年収400万円と1000万円の人がいるとする。1年間を暮らすのにともに400万円を使ったとすれば、消費税も同じ20万円である。だが、年収に対する負担率は前者が5%、後者は2%という違いになる。消費税が逆進的といわれるゆえんである。

 ちなみに、所得に対する負担率で整理すれば、税にはもう2つの考え方がある。所得の高低に関わらず負担率が同じであれば、「比例的」な税金ということができる。また、所得が高額になればなるほど負担率が高まる税金を、「累進的」という。所得税がその典型である。

 消費税の逆進性解消のため、欧州諸国に倣ってたびたび話題になるのが食料品や生活必需品の軽減税率の導入である。生活に必要不可欠なものは税率を下げ、低所得者の負担率を下げようというわけだ。だが、やめたほうがいい。第1に、恩恵を受けるのは高額所得者も同じだから、公平性が高まるわけではない。第2に、軽減税率の対象にしてもらうべく各業界は必死になる。自動車や住宅など高額商品を提供する業界こそ、血眼になるだろう。そこに、政治家が付け込み、必ず利権となる。政治家に業界の生殺与奪の権など、与えないほうがいい。

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辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]

1981年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属後、エレクトロニクス、流通などの業界を担当。91年副編集長となり金融分野を担当。01年から04年5月末まで編集長を務める。主な著書に「ドキュメント住専崩壊」(共著)ほか。


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