Photo by Ryosuke Shimizu
第二地方銀行の東京スター銀行をめぐって、台湾大手の中国信託商業銀行と東京スターの株主団が、買収に向けて基本合意する方向で最終調整に入った。
買収価格は、600億円規模とみられる。価格には、今後東京スターが実施を検討している増資の引き受け分も含まれるもようだ。
東京スターの2013年3月末時点の自己資本比率(単体)は、9.34%。国内銀行の健全性基準を大きく上回っているものの、中核的自己資本(Tier1)は5.85%と第二地銀平均と比べて、2.5ポイントも低い。
14年3月期から新たな自己資本規制が段階適用され、一段と資本の「質と量」が求められるようになることも、増資の検討を後押ししているようだ。
現在、中国信託と東京スターの株主団は、規制強化を踏まえた増資の規模と、それに伴って上乗せされる買収価格などについて、詰めの協議に入っている。
経営の軸は今後定まるか
東京スターの実質的な株主である、米投資ファンドのローンスターや新生銀行、仏金融機関クレディ・アグリコルなどは、昨夏から財務アドバイザーの野村證券を通じて、中国信託と株の売却に向けた交渉を進めていた。
双方が合意に向け動き始めたことで、今後の焦点は東京スター自身の経営の行方に移る。
1999年に前身の東京相和銀行が破綻して以降、投資ファンドを中心に株主が頻繁に入れ替わり、短期的な利益を追求するファンド特有の経営に、大きく振り回されてきたのが東京スターの歴史だ。