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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

消費税先送りは株安円高を引き起こす
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第105回】 2013年7月31日
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 最近、安倍首相の消費税に関する発言が目立っている。経済指標を見ながら、慎重に判断しようという構えである。

 ただし、見方によっては、参議院選挙を大勝した今になって、ことさらに慎重さを強調するのは、消費税増税を先送りしようと地ならしをしているのではないかと勘ぐることもできる。今秋に消費税増税を「決断しないかもしれない」と含みを持たせるメッセージを振りまいて、各方面からの反応を見ようとしているのだろうか。

 風向きの変化は、参議院選挙に前後して起こった。7月13日に浜田宏一内閣府参与が、消費税増税は「消費税増税による日本経済へのショックはかなり大きい」と語り、7月19日には本田悦郎内閣府参与が「1%ずつ徐々に引き上げていくのが現実的」と呼応した。

 最近では、7月27日に首相自身が、8月上旬に取りまとめられる予定の中期財政計画について「消費税率の引き上げを決め打ちするものではない」と釘を刺す発言をしている。同じタイミングで、増税が与える経済への影響について、首相自身が複数案を検証するように指示したという観測が広がった。

 折りしも日経平均株価は、7月26、29日と大きく下落し、不穏な空気が流れる(図表1参照)。アジア株の中で日本株の下落が目立つのは嫌な感じである。この期に及んで、首相が消費税率引き上げの先送りを決定するのならば、それは円高と株安を誘発する危ない判断に見える。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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