ストーリーを超える

 この大きな体験が起きたのは、筆者がバイロン・ケイティの新著、『新しい自分に目覚める4つの質問』の出版に向けて最後の作業をしているさなかでした。この本の中に、「生老病死――老いや病、死をどう受けとめるか」という章があり、ケイティの言葉はとてもリアルで的確に心に響くと共に、大きな支えとなりました。

 ケイティは本の中で、次のように言っています。

 あなたが死についてクリアな状態でいることができれば、誰かが死に向かっている時に、その人と完全に共にいることができます。(中略)その人をただ愛し、抱きしめ、気にかけることができます。なぜなら、そうすることがあなたの本性だからです。

 恐れを抱えてその人のところにやってくることは、恐れを植えつけることになります。その人があなたの目をのぞき込むと、自分は大変な状態であるというメッセージを受け取ることになるのです。けれどもあなたが恐れなく、平和な状態で訪れたとしたら、あなたの目をのぞき込んだ時に、何が起きていても大丈夫だとわかるでしょう。

 そして不安や罪悪感など、さまざまな考えや感情が湧いてきて、クリアな状態でいられない時、4つの質問と置き換えからなる「ワーク」に取り組むこともできるのです。実際、介護をしている家族にワークを使ってサポートしたこともあります。

 ケイティはまた、次のようにも語っています。

 体の痛みにうんざりしている人たちにとり、コントロールできないものをコントロールしようとするほど悪いことはありません。本当にコントロールしたいのであれば、コントロールという幻想を捨てましょう。人生の流れに任せるのです。実際、人生の流れに任せざるを得ません。あなたが語っている、コントロールできるはずというストーリーは、決して現実(リアル)にはなりません。