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スマートフォンの理想と現実

「ツートップ」に入れればいいのか?
窮地の国内メーカーがスマホ市場で生き残る道

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第47回】 2013年8月7日
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 ソニーが59億円の黒字、シャープ、パナソニック、NEC、富士通が、合計で300億円超の赤字――7月末に相次いだ、電機メーカーの第1四半期決算発表から、モバイル分野の営業利益を抜き出した数字である。

 まずは目立ったのがソニー。スマートフォンやPCを含むセグメント「MP&C」の売上高が3890億円、営業利益は59億円となり、さらに全体での売上は1兆7127億円、営業利益が364億円という数字を残している。メーカー各社の中でほぼ唯一の、黒字決算だ。

 背景として、為替の円安傾向や金融部門の好調に加えて、スマートフォンの販売台数増加があることを、ソニー自身が明らかにしている。実際、ドイツ等でも販売好調が伝えられているように、Xperiaシリーズの全世界での販売数は、今四半期で約960万台に達している。

 ソニーは国内でも好調だ。NTTドコモのツートップの一角「Xperia A」が約110万台もの販売台数を記録している(同社決算資料より)。この数字は、同じくツートップの一角であるサムスン「Galaxy S4」と比較して、およそ2倍(約55万台)という大きさである。

 一方、ソニー以外の国内メーカーは、おしなべて不調そのものである。中でも事前からスマホ撤退の観測報道が流れていたNECは、携帯端末事業を含むセグメント(他にスマートエネルギーや電子部品、インターネットサービスを含む)で99億円の赤字となった。この決算発表と同日には、スマートフォンからの撤退も明らかにし、今後はフィーチャーフォンとタブレットに注力するとしている。

 パナソニック(携帯電話事業を担当する子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズ)は、前年同期から17億円悪化して、54億円の赤字。シャープはスマートフォンを含む「デジタル情報家電」セグメントの利益が、前年同期から188億円改善となったが、いまだ13億円の赤字。富士通も携帯電話事業を含む「ユビキタスソリューション」セグメントが171億円の赤字となっている。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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