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過去最高益のサムスン株がまさかの急落の“なぜ”
スマホ市場の成熟と技術力の壁が韓国経済に落とす影

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第285回】 2013年7月23日
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過去最高益なのに株価は急落
海外投資家がサムスンを見限る理由

 7月初旬、サムスン電子は4-6月期の決算を発表した。それによると、売上高は前年同月比7.8%増の57億ウォン(約5兆円)、営業利益は9兆5000億ウォン(約8340億円)と過去最高の収益となった。

 ところが、当日の韓国の株式市場で同社の株式は売り込まれ、一時株価は前日比大幅安となる場面もあった。その背景には、同社の営業利益が10兆ウォンを超えるとの予想に届かず、投資家の間で一種の失望感が醸成されたことがある。

 しかし、失望感だけの理由ではないだろう。サムスンには、もっと根が深い問題が潜んでいると見た方がよい。そうでないと、海外投資家の多くが、サムスン株の売却に走った現象を説明することが難しい。

 足もとの収益状況を見れば、依然、サムスンは世界最大のIT企業であることに変わりはない。また、半導体や液晶などのIT関連の重要部品から、スマートフォンやタブレットPCなどの完成品までをつくる生産能力は、世界有数のメーカーであることを象徴している。

 そうした状況にもかかわらず、海外投資家を始め多くの投資家が、今回の決算をきっかけにサムスンの将来性に疑問符を付けたのである。韓国経済の屋台骨を背負うサムスンの将来に疑問符が付くということは、とりも直さず、韓国経済の先行きに黄色信号が灯ったことを意味する。

 以前から、海外の金融機関が韓国から撤退する動きを示しているという。韓国経済は、外から見ているよりも深刻な状況にあると考えるべきだろう。

 現在、IT製品のスターであるスマートフォンについて、サムスンは世界市場をアップルと二分する有力企業である。その有力ITメーカーを、海外投資家らが見限る理由はどこにあるのだろうか。おそらく、2つのファクターを考えるとわかり易い。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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