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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

なぜ北京の地下鉄は何処へ行くにも2元なのか?

加藤嘉一
【第10回】 2013年8月13日
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北京の地下鉄が便利に
料金は5元から2元へ

 私が北京に留学した当初の2003年、北京大学から国貿という北京で最も発展している場所のひとつで、多くの日本企業がオフィスを構えるCBD(Central Beijing District)まで地下鉄で行くのには約1時間半を要した。

 私が住んでいた北京大学留学生宿舎――勺園(西門付近)から同大学東門まで行くのに10分、そこから韓国人エリアと言われるほど韓国人が多く活動している五道口にある五道口駅(13号線)まで徒歩で15分、西直門駅まで10分(3駅)、そこから2号線に乗り換えて建国門駅まで20分(8駅)、そこから1号線に乗り換えて2駅行くと国貿に到着する(5分)。

 上に挙げた時間を足せば60分だが、地下鉄の乗り換えや待ち時間などを含めると、だいたい90分かかった。当時の料金は5元(80円)。

 今となっては、北京大学東門駅(4号線)が建設され、だいぶ便利になった。北京大学生は市街地まで繰り出すのに五道口まで徒歩やバスで赴く必要がなくなった。4号線と、これまた2003年時にはなかった地下鉄10号線を乗り継いで、乗換1回で国貿まで行けるようになった。所要時間は70分。料金は2元(32円)だ。

 時間が約20分短縮されたのは、インフラが整備された証拠だ。この期間、北京では五輪が開催され、格差の拡大や福祉の欠如、官僚の腐敗など、さまざまな問題を抱えながらも高度経済成長を続ける社会主義国家の首都は年々“お色直し”をしていった。

 一方で、空気の“お色直し”はなされなかった。そのなかを毎日走っていた私の肺は、一体どんなふうになっているのだろうか。時々そんなふうに考える。

 近年における北京の地下鉄事情を長々と紹介したのには理由がある。読者の皆さん、どこか気になる点はないだろうか。疑問に感じてしまった部分はないだろうか。

 そう、同じ区間の移動に、インフラが整備されたおかげで時間が短縮され、都市生活がより効率化されたにもかかわらず、料金が半額以下に下がったことである。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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