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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

当選からわずか2ヵ月で「ハコモノ推進派」に転向!?
八千代新市長の変節ぶりに見る行政改革の遠き夜明け

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第76回】 2013年8月27日
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「ハコモノ行政NO」で無所属新人が勝利
あまり報道されない八千代市長選のその後

 取材記者として高く広くアンテナを張っているつもりだが、1700余りある全ての市町村の動きをウォッチし続けるのは、不可能だ。うっかり見落としてしまったり、気になりながら直接取材できずにいる自治体がほとんどだ。

 後から取材漏れに気付き、悔やむといった日々を送っている。千葉県八千代市もそうした事例の1つに危うくなりそうだった。

 東京から30キロ圏に位置する千葉県八千代市は、人口約19万人。自然環境の良さに市内を京成線と東葉高速線が走るという利便性も加わり、ベッドタウンとして成長している。人口増(国勢調査べース)が続き、財政力指数(2011年度・以下同)も0.95と高い。普通会計の歳出規模は約535億円で、勢いのある地方都市の1つといえる。

 しかし、これといった名所旧跡や特産品、観光施設のない八千代市の知名度はいまひとつ。全国ニュースに取り上げられるような話題もめったになく、特徴のない地味な自治体である。

 そんな八千代市で今年5月、新聞の一面トップを飾る出来事があった。現職市長の任期途中での辞任に伴う市長選挙である。

 東京新聞が選挙翌日の5月28日付朝刊で、新市長誕生を大々的に報じたのである。記事には「八千代市長選 無所属新人が勝利」「ハコモノ行政“ノー”」という見出しが打たれ、より大きな文字で「市民の声 原動力」という表記がなされていた。

 三つ巴の激戦を制したのは、市民グループが推した無所属新人の秋葉就一氏(元市議)。前市長の後継者として自民と公明が擁立した候補(元県議)と、民主党支部が推薦した候補(計画見直し派)を破り、初当選した。大方の予想を覆す大番狂わせだった。「私の勝利というより市民の勝利」という秋葉氏の喜びのコメントも掲載された。

 八千代市長選が大きく報道されたのは、番狂わせという結果だけが要因ではない。もう一点、選挙の争点が明確だったことも影響した。市長選挙は、事実上、前市長が進めてきた「新川周辺地区都市再生整備計画」(以下・新川計画)の是非を問うものだった。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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