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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

首長も行政運営も談合で決まる無風地帯に「待った」
松阪市に“民意反映”の楔を打ち込む若き市長の気骨

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第74回】 2013年7月30日
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 地方自治の取材を20年以上、続けている。全国各地の自治体を訪ね歩き、様々な行政現場に触れてきた。自治体トップへの直接取材も重ねており、これまで色々なタイプの首長に出会ってきた。

 たとえば、職員・市民に大号令を発するトップダウン型や、役所の論理を最優先させる内部調整型だ。また、パフォーマンスに傾注するお祭りタイプや、単なるお飾りの神輿のような人もいる。いまだに特定の組織や業界の代表者として首長権限を振るう、利権型も存在する。

 これまで数多くの首長にインタビューしてきたが、もの静かで奥ゆかしいというタイプは少なく、よく喋る自信家がほとんどだ。それも当然かもしれない。他人を押しのけて「オレがオレが」と前へ出てくるような人でないと、選挙になかなか勝てないからだ。

なぜ首長は民意を反映できないのか?
選ぶ側と選ばれる側の双方にある問題

 住民から直接選ばれる首長の最大の役割は、住民代表として行政組織のトップに就任し、民意を反映させた行政運営を行うことにある。自治体や自分を世の中に売り込むことがメインではない。民意をしっかり汲み取り、それを具現化するために行政組織を動かしていくことが、首長の使命だ。政策立案とその実行の最終責任者である(政策決定は議会の役割)。

 しかし、首長の役割をきちんと果たすことは、容易なことではない。むしろ、民意ではなく、行政組織の論理や都合を優先して行政運営する首長の方が圧倒的に多い。こうした民意を反映しない行政運営に異を唱え、改革を標榜して当選する人も生まれている。

 だが、そうした改革派首長も行政組織の中に入った直後に変節してしまったり、未熟さゆえに挫折してしまうケースがほとんどだ。民意に基づく行政運営は残念ながら、言葉だけの絵空事になっているのが悲しい現実だ。

 ではなぜ、そうした現象が広がってしまったのか。その要因は、選ぶ側と選ばれる側の双方にある。選挙によって民意が示されるという固定観念がある。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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