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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

一党支配を維持したい「中国共産党」と
「政治民主化」の共存は可能なのか?

加藤嘉一
【第11回】 2013年8月27日
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「中国民主化研究」=「中国共産党研究」

前回コラムでは「北京の地下鉄はなぜ何処へ行くにも2元なのか?」と題して、中国共産党がいまだにマルクス・レーニン主義が唱える「無産階級」の党、即ち「中国共産党は工農階級を代表している統治者」であることを描写した。

 中国社会が民主化を含めた健全な方向へ進化していくために欠かせない「中産階級」よりも、時の政権を暴力的に“転覆”しようとする可能性が高いとして、共産党政権が最も警戒する「工農階級」の権益を戦略的に擁護しようとしている現状に、懸念を示した。

 中国の統治者・為政者・支配者である共産党政権が誰に向けて政治を展開しているのか、言い換えれば、共産党指導部がどういう対象を想定しながら権力構造をマネージしていくのか、という問題は、中国政治の将来、民主化の可能性を考える上で重要である。

 私の見方によれば、党指導部がイデオロギーからの脱却に向けた努力をせず、「政治の安定」という“大義名分”から“工農階級”の欲求ばかりに迎合し、“中産階級”の真っ当な権益(最低限の社会福祉、公正な就業機会、政治的権利、教育・医療・戸籍の自由など)を軽視し続ける現状は、本連載のテーマである「中国民主化研究」という観点からすれば、些かネガティブと言わざるを得ない。

 「中国民主化研究」とは即ち「中国共産党研究」である。両者は表裏一体の関係を呈している。

 本稿では、“共産党”と“民主化”の相関性を考えてみたい。

中国共産党は西側の考える
“民主化”は受け入れない

 中国共産党政治最大の目的は「一党支配を可能な限り持続させること」である。8000万人以上いる共産党のトップ層が、「一党支配を持続させるために、政治の民主化が必要だ」と主観的に感じるのであれば、“紅の党”は必然的に、独自のスタイルで民主化を進めるであろう。

 しかし、それは、「民主化」という統治方式・価値体系を信奉するからでは決してない。あくまでも“便宜上の都合”で民主化という手段を適用するに過ぎない。逆に、「一党支配を持続させるために、政治の民主化は邪魔だ」と主観的に感じるのであれば、“紅の党”は必然的に、独自のスタイルで民主化を拒む、あるいは阻止するであろう。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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