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利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか――目的工学[入門編]
【第19回】 2013年9月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
紺野登 [多摩大学大学院教授、KIRO(知識イノベーション研究所)代表],目的工学研究所 [Purpose Engineering Laboratory]

人々の意志と能力を集めて
インパクトを生み出すそのポイントは?
対談:井上英之×紺野登(後編)

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社会起業家の育成・輩出に従事してきた慶應義塾大大学院政策・メディア研究科、特別招聘准教授の井上英之氏と、『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのかーードラッカー、松下幸之助、稲盛和夫からサンデル、ユヌスまでが説く成功法則』の著者、目的工学研究所所長の紺野登氏との対談の後編では、ソーシャル・イノベーションと目的工学の関係性について議論が進み、改めて「目的工学とはどのような方法論なのか」について語った。(構成/曲沼美恵)

ソーシャル・イノベーションに関わると
ビジネスパーソンがだんだん「いい人」に変わっていく

紺野 井上さんと以前お会いした時に、「社会起業ブームが始まったばかりの頃は、なんだかんだ言ってもビジネスの経験がある奴の方が偉いという神話があった」とおっしゃっていましたね。ご自身も、最初はそんなイメージを持っていらしたとか?

井上英之(いのうえ・ひでゆき)
1971年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、ジョージワシントン大学大学院に進学(パブリックマネジメント専攻)。ワシントンDC市政府、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、NPO法人ETIC.に参画。
2001年より日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスコンテスト「STYLE」を開催するなど、国内の社会起業家育成・輩出に取り組む。2005年、北米を中心に展開する社会起業向け投資機関「ソーシャルベンチャー・パートナーズ(SVP)」東京版を設立。2009年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「Young Global Leader」に選出。2010年鳩山政権時、内閣府「新しい公共」円卓会議委員。2011年より、東京都文京区新しい公共の担い手専門家会議委員、など。現在、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘准教授。2012年秋より、日本財団国際フェローとして、米国スタンフォード大学客員研究員として滞在中。

井上 そうなんです。最初はけっこうナイーブに考えていて、どこかで「ビジネスの経験さえあれば、社会の問題解決にイノベーションがおこせる」と思っていました。だから、ビジネスセクターから非営利セクターに人が流れたら、ものすごい変化が起こるんじゃないか、と期待していたんです。

 けれど、蓋を空けたらそんなに簡単にはいかなかった。というのも、そのひとつに、ビジネスプロフェッショナルの人たちが会社を離れて社会起業に加わると、意外と、セルフマネジメントができないことがけっこう多いんです。同じようなことは、ドラッカーも言っています。

 具体的に言うと、まず、自分で目的設定がなかなかできない。それと、肩書きで仕事をしてきたせいなのか、もしくは縦型のコミュニケーションに慣れているからなのか、個人として社会分野の人とうまく会話を交わすことができない。個人差はもちろんありますが、フラットな関係になれず、どうしても高見に立ってモノを言う傾向があります。

紺野 以前の対談でグランマの本村さんも営利セクターと非営利セクターの間には通訳が必要だとおっしゃっていましたが、コミュニケーションは意外に大きな要素になりますね。

井上 ただ、おもしろいのは、長い間ソーシャルにかかわっていると、企業の人たちもそうしたフラットなコミュニケーションに慣れてきて、変な話、「いい人」になっていくんです。街中にいる普通のおばあちゃんと、くだけた会話ができるようにもなっていく。そうすると、顧客との関係性の作り方もおそらく変わる。

紺野 コトラーの「マーケティング3.0」的な世界が広がっていく。

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紺野登 [多摩大学大学院教授、KIRO(知識イノベーション研究所)代表]

多摩大学大学院教授、ならびにKIRO(知識イノベーション研究所)代表。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)特任教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェロー。その他大手設計事務所のアドバイザーなどをつとめる。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博士(経営情報学)。
組織や社会の知識生態学(ナレッジエコロジー)をテーマに、リーダーシップ教育、組織変革、研究所などのワークプレイス・デザイン、都市開発プロジェクトなどの実務にかかわる。
著書に『ビジネスのためのデザイン思考』(東洋経済新報社)、『知識デザイン企業』(日本経済新聞出版社)など、また野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との共著に『知力経営』(日本経済新聞社、フィナンシャルタイムズ+ブーズアレンハミルトン グローバルビジネスブック、ベストビジネスブック大賞)、『知識創造の方法論』『知識創造経営のプリンシプル』(東洋経済新報社)、『知識経営のすすめ』(ちくま新書)、『美徳の経営』(NTT出版)がある。

目的工学研究所 [Purpose Engineering Laboratory]

経営やビジネスにおける「目的」の再発見、「目的に基づく経営」(management on purpose)、「目的(群)の経営」(management of purposes)について、オープンに考えるバーチャルな非営利研究機関。
Facebookページ:https://www.facebook.com/PurposeEngineering


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