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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

組織の良否は
そこに成果中心の精神があるかどうかによって決まる

上田惇生
【第347回】 2013年9月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2100円

 「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。天才に頼ることはできない。天才はまれである。あてにできない。凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決定する。同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。要するに、組織の良否は、そこに成果中心の精神があるかどうかによって決まる」(『マネジメント──基本と原則[エッセンシャル版]』)

 人間は多様である。しかも、でこぼこした存在である。あることを得意とし、あることは不得意とする。得意なことを伸ばすのは簡単だが、不得意なことを直すのは至難である。そこで不得意なことを意味のないものとし、得意なものを引き出して組み合わせることが必要になる。

 ところが、組織の中に、何事も成果を中心に考え、行動するという成果中心の精神が根付いているならば、人びとの得意なことだけを組み合わせるという手品が、いとも簡単に行える。

 成果中心の精神を持つための方法は簡単である。第1に、あらゆることの焦点を成果に合わせることである。第2に、あらゆることの焦点を機会に合わせることである。第3に、人事は真摯さを絶対の条件として行うことである。

 ドラッカーは、実例をもって教える。かつての帳簿係が組織の成長に伴い、50歳で経理担当役員になったものの、仕事をこなせなくなった。人は変わらないのに、仕事が変わった。だが、ずっと真摯に働いてきた。

 ドラッカーは、そのような真摯さに対しては、真摯さをもって報いなければならないという。ただし、担当役員のままにしておいてはならない。仕事上差し支えがあるだけではない。士気を低下させ、マネジメントへの不信をもたらす。

 だが、退職させるのも間違いである。正義と礼節にもとる。

 「成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。それらの決定は、人間行動に対して数字や報告よりもはるかに影響を与える。組織の中の人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを知らせる」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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