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興味深い「薄熙来裁判」に隠された恐ろしい意味
ミニ王朝の政治ショーが物語る最新中国事情雑感

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第291回】 2013年9月3日
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傍観者には興味深いショーだが――。
公開された「薄熙来裁判」の功罪

 8月下旬、収賄・横領などの罪で起訴されていた、薄熙来・元共産党幹部の裁判の様子が公開された。裁判そのものは、誰もが認める一種の政治ショーだ。かつて有力な政治リーダーの1人として強烈なオーラを放ち、人々から高い支持を受けた同氏が、習新政権下で政治の舞台から追いやられようとしている。

 裁判の展開を見ていると、裏切り、不倫、汚職、腐敗とドラマ仕立てにしてもいいような要素が、これでもかというほど出てくる。同氏が南仏に高級別荘を保有していたり、息子が関連企業からのリベートで厚遇された事実が、白日の下に晒されてしまった。傍観者である我々には、とても興味深いショーである。

 同氏の裁判に続いて、中国の国有石油大手の中国石油天然気集団(CNPC)の経営陣が、汚職を理由に相次いで摘発された。摘発は、習新政権が進める「反腐敗運動」の一環と言われる。

 ただ、一連の動きは単純な腐敗撲滅運動ではなく、その背景には中国共産党内部の権力闘争が大きく影響していると見られる。事実上、一党独裁体制を採る中国で、新しい政権ができると、必ずと言ってよいほど激烈な権力闘争が発生し、権力闘争に敗れたものは、力の論理によって政治の檜舞台から排除される。

 現在、中国で起きている事件を見るにつけ、一握りの人々が強大な権力を握ることの恐ろしさを感じる。一方、民主主義は意思決定に時間を要したり、ときに戦前のナチスの台頭のような間違いを犯すことはあるものの、権力者の行動をチェックする重要な機能を持ち合わせていることを、再認識されられる。

 今回の公開裁判から色々なことがわかる。薄熙来・元共産党幹部は、すでに18ヵ月前に逮捕されていた。その裁判をこの時期に、しかも公開して行うということは、習新政権の基盤が整備されつつあることを意味するだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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