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田中秀征 政権ウォッチ

安倍政権は米国の性急なシリア攻撃にブレーキをかけるべきだ

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第198回】 2013年9月5日
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 米国のシリア攻撃は、オバマ大統領が議会にその承認を求める方針に転換し、早くても9日以降に先送りされた。これにより、株式市場も、投資家の中東リスクへの警戒感が弱まり、持ち直している。

 言うまでもなく、米国の性急なシリア攻撃は誰のためにもならない。とりわけ米国の威信が失墜し取り返しのつかない事態に陥る恐れがある。

 当面懸念すべきことが3つある。

「世界の悪を排除する」のは
米国の義務・権利ではない

(1)何よりも、現状での米国のシリア攻撃には正当性、合法性がきわめて乏しい。

 アフガン、イラク両戦争には、「9.11」国際テロに対する自衛戦争の要素もあった。だから、国連憲章で認められた「個別的自衛権」や「集団的自衛権」の発動とみなされる余地もあった。

 だが、今回、米国はシリアから武力攻撃を受けてはいないからどう考えても米国の自衛戦争ではない。

 そうすると、今回の米国の軍事介入は、国際社会の意を受けた「警察行動」として正当化される他はない。

 しかし、国連安保理では中国とロシアが攻撃に反対し、“特別の関係”にある英国も軍事介入の不参加を決めた。

 だから、米国がこのまま予定通り開戦に踏み切れば、米国の内外から攻撃の正当性を強く批判されるだろう。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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