10月から始まる年金引き下げ
改革先送りで将来は暗黒
来月から、今、高齢者がもらっている年金が減らされる。
年金は本来、物価が上昇すれば給付額が増え、物価が下落すれば減るものだが、実はこれまで特例として、2.5%高い水準の年金が給付されていた。この特例水準の解消が、来月に始まるのだ。
年金の引き下げは3回に分けて実施され、2015年4月には、夫がサラリーマンだった老夫婦の年金が、現在より年間約7万円少なくなる予定だ。
年金を減らされる高齢者にとっては大きなインパクトとなるが、それでも今回の引き下げはあくまで、年金を本来の水準に戻すためにすぎない。
これまで高水準の給付を続けたことで、払い過ぎた年金の総額は累計で約7兆円とされている。過払い分は確実に、将来世代の負担となって跳ね返る。
現役世代には、より厳しい現実が待ち受けている。社会保険料が給料から天引きされるサラリーマンには実感しにくいが、負担する保険料率は年々上昇している。
厚生年金の保険料率は04年度の13.58%から毎年引き上げられており、17年度に18.30%になるまで続く。
支給開始年齢も、25年までかけて65歳に引き上げられている最中だ。負担増と給付の先細りは着実に進んでいる。