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悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

なぜ高学歴のクラッシャー上司が評価されるのか?
20代“うつ”社員の量産ラインと化した職場の混迷

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第10回】 2013年9月10日
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 今回は、前回の「20代を“うつ”にし続ける女性マネジャーの病理」の続編をお届けする。かつてブラック企業の中堅広告代理店(正社員数600人)に在籍し、社長の命令で20代の若手社員の大量リストラを行った元事業部長のA氏(46歳・男性)に対する「若手上司によるマネジメントの課題」についてのインタビューをまとめたものである。

 A氏とのやりとりについては、よりニュアンスを正確に伝えるため、インタビュー形式とした。取材の内容は、実際に話し合われた内容の9割方を載せた。残りの1割は、会社などが特定でき得る可能性があることから省略した。

 当時(2008~09年)、A氏はリストラの最前線で20代の社員80人ほどから辞表を受け取った。社長からの指示だった。その会社を数ヵ月前に退職し、来年からは大手広告代理店の関連会社(社員数500人)に役員として迎え入れられる予定だ。

 ちなみに、A氏がもといた会社で行われたリストラの詳細についても、連載第7回で取り上げている。


部下を潰れるまで問い詰める
それが「育成」だと思い込んでいる

元事業部長への取材は、都内の中心部で行なわれた

筆者 前回は、マネジメントに大きな課題を抱える30歳前後の女性マネジャーを取り上げました。20代の部下3人を潰してうつ病にし、退職させてしまったようだが、他の管理職はどうだったのですか。

A氏 営業部にも、30歳ぐらいの男性マネジャーがいて、20代の部下10人ほどをうつ病状態にして辞めさせた。このマネジャーはその後、依願退職した。部下を潰したことで責められたわけではない。「自らの意思で辞めた」と、営業部長などから聞いた。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

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