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「会社のワガママちゃん」対処法

部下を潰して出世するクラッシャー上司は
「人格の未成熟さ」を抱えた危険な存在

松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]
【最終回】 2009年10月15日
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 最終回となる今回は、少し視点を変えて、企業の必要悪的な存在とみなされてきた「パワハラ・クラッシャー上司」についてお話しします。

 この「パワハラ・クラッシャー上司」は、確かに能力はあり仕事はデキます。しかし、部下を奴隷の如く扱い、失敗するとネチネチと責め続け、気分の上がり下がりが激しいという特徴をもっています。

 部下は、どんどん心を病んで脱落していきますが、自身の実績は社内でもトップクラスであるため、会社としても処分するわけにはいかず、あれよあれよという間に出世していきます。

 あなたの周囲にこんな上司はいませんか?  実は、このようなクラッシャー上司も人格が未成熟なワガママちゃんです。まず、事例から提示しましょう。

【事例】
パワハラ・クラッシャー上司
商社営業部長代理・男性47歳

 都内有名私立大学を優秀な成績で卒業後、商社に入社。父親は中央官庁の高級官僚で、幼少時より両親から極めて保護的に養育され、塾通いの日々で、ほとんど友人と交流することもなく「お前は他の友達とは違うんだ」と言われて育ち、高いプライドを有するようになった。

 成績は優秀で、国立T大学を目指したが受験に失敗、父親はT大学から公務員試験を受験して、中央官庁へ入省することを強く望んでいたが、果たせなかった。このことから父親は、本人に対して「お前はダメな人間だ」と罵倒することもままあったという。

 基礎的な能力は高く、入社後から実績を上げ順調に昇進し、同期の中では最も早く管理職に登用された。しかし、仕事は確かにできるが、部下が業務上の失敗をすると、自室に呼び出し、2時間近くも「ネチネチ」と部下の失敗を遠回しに非難する。決して明らかなパワハラにならないように、初めは優しい口調で対応するが、部下が弁解をすると論理を構築して弁解の余地のないところまで心理的に追い詰める。部下が疲れ果てて「自分が全て悪かった、申し訳ありません」と平謝りするまで、非難は延々と続く。

 しかし、部下に営業上の失敗があったとしても、最後は自分が直接に乗り出して、クライアントにうまく対応して商談をまとめる。本人は、気分の上がり下がりが激しく、時に、部下を引き連れて自分の好きな飲食店に連れて行き、ワインの蘊蓄を傾け大盤振る舞いをしたり、その一方で、原因もなく、何を言っても取り付く島のないほど不機嫌であったりする。そのため部下たちも、本人に対しては面と向かって本音が言えず、「しかたがない。逆らわずにいこう」と諦めていた。

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松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]

1960年生まれ。1989年筑波大学大学院博士課程修了、精神科医、医学博士。東京都庁知事部局健康管理医、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究員、茨城県警察本部健康管理医のほか、企業の精神科産業医として国内外で活躍。著書に「会社で心を病むということ」(新潮文庫)、「もし部下がうつになったら」(ディスカバー携書)など。

 


「会社のワガママちゃん」対処法

「傲慢なのに打たれ弱い」未熟なワガママ社員が増え、多くの管理職が振り回されている。しかし、対処法を間違えば、彼らは「うつ」になるケースも。彼らとどう付き合っていけばよいのか、その方法を紹介していく。

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