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岸博幸のクリエイティブ国富論

羽田空港の国際線発着枠の配分を巡るJALの暗闘

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第239回】 2013年9月13日
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 どうも最近テレビなどでJALのコマーシャルが目立つし、JAL寄りの記事が目立つなあと思っていました。そこで調べてみると、なるほど、羽田空港の国際線発着の新枠の配分が今月中に行なわれるため、どうやら少しでも多くの枠を獲得すべく、JALが世論を味方につけようとしているようです。

羽田国際線発着枠の
平等配分はおかしい

 羽田空港の国際線発着枠は来春から1日あたり約40枠増える予定です。そのうち約20枠が国内航空会社に配分される予定なのですが、羽田発の国際線は航空会社にとってドル箱なので、JALとANAが1つでも多くの枠を獲得しようと競い合っています。

 ANAは、JALが過剰な政府支援で必要以上に強い企業として再生した結果、競争環境に歪みが生じているので、ANAに多めに配分することによりこの歪みを是正すべきだと主張しています。

 これに対してJALは、消費者利便向上のために均等に配分されるのが妥当と主張しています。ちなみに、JAL寄りの評論家は「ANAは、JALが破綻して独占した路線では客単価を上げている。このことからも、発着枠を平等に配分した方が国民の利益になる」と発言しています。

 この問題については、どう考えるべきでしょうか。私は、ANAの味方をする気はありませんが、客観的に状況をみると、やはり平等に配分というのは3つの観点から明らかにおかしいと思います。

 第一はANAも主張している競争条件の歪みです。例えば2013年4~6月期の四半期決算の純利益は、ANAが66億円の赤字であるのに対してJALは183億円の黒字です。この差は、JAL再生の過程で政府が3500億円の公的資金を投入し、民間金融機関に5000億円以上の借金棒引きをさせるなどの過剰な支援を行なった結果に他なりません。政府の公的支援による利益の押し上げ効果は年間1000億円にも上ると推測されます。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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